病院再編問題 その2 川崎市立井田病院は?
川崎市病院局にレクチャーを受けたその2
●公立病院2019年9月再編統合 その川崎市としての受け止めと今後の対応についてうかがいました。急性期病床の削減ありきの厚労省方針に対して県は市はどう向き合うか。
結論から先に書きますと
今後も医療需要の増加が見込まれる中、井田病院は地域に根差して必要な医療を提供しており、地域の中核病院として重要な役割を担っていることから、現時点では現状の機能を維持することとし、今回の厚生労働省の要請に対する具体的対応方針の見直しは行わない。
1《経過》厚労省は再検証を要請しています。
11月19日 川崎地域医療構想調整会議開催 県と意見交換
12月12日県から自院の再検証作業の依頼
1月17日改めて厚労省から都道府県当て再検証の要請
1月28日県から井田病院あて再検証が要請されています。
2《再検証の結果》
(1)当院を取り巻く地域医療の状況
ア 圏域別患者数は3つの医療圏をまたいで、川崎南部:川崎北部:横浜で3:4:3の割合となっており、 かつ、いずれの医療圏においても医療需要に直結する総人口・老年人口のピークは15年から40年後
イ 当院の一般病床稼働率は、平成29年度81.9%、平成30年度83.5%、令和元年度上半期86.8%と上昇しており、今後も医療需要の増加により更なる上昇が見込まれる。
(2)すでに実施した取り組み
ア 改築に合わせて一般病床42床の病床削減(h24年度)
⇒削減病床を活用して政策医療として「重症患者緊急対応病床(61床)」の他院への増床に活用
イ 地域医療構想の実現と地域包括ケアシステムの構築を目指し、将来不足が見込まれる病床機能の強化や診療機能の文化・連携。集約化の実施
〇急性期病床45床を回復期へ転換し、地域包括ケア病棟を整備(h28年度)
〇脳神経外科および呼吸器外科入院診療の川崎病院への集約化(h29年度)さらに血液内科入院診療⒝の川崎病院への集約化も検討中
〇在宅療養後方支援病院の届け出(令和元年7月)
(3)地域の医療ニーズを踏まえ担っている機能
ア 救急告示病院として、特に後期高齢者を中心に誤嚥性肺炎や尿路感染症など、一般的に入院期間が長期化しやすく採算がとりにくいとされる、患者の積極的な受け入れ
イ 地域がん診療連携拠点病院として、同一圏にある他の拠点病院都の役割分担と相互連携のもと、緩和ケア医療や在宅医との24時間連携、ロボット支援手術の導入など、地域のがん医療水準の向上に貢献
ウ 市内唯一の結核病床(40床)を有し、横浜圏からの患者受け入れも含め結核患者への透析医療にも対応
エ 災害協力病院として、横浜市も含む地域の医療機関との合同防災訓練等に継続的に取り組み、昨年の台風19号の際には、高台に立地する水害に強い地の利を生かした災害医療機能を発揮。
オ 期間型臨床研修病院あるいは新専門医制度の基幹施設等として、多くの初期臨床研修医や専攻医を受け入れ、地域医療水準の向上に貢献
3《今後の対応》令和元年度第3回川崎地域医療構想調整会議(令和2年2月12日開催予定)において、再検証の結果を説明し、現時点では見直しは行わないことについて合意を得ていく。
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懇談の中では、高台にあるという地の利を生かし台風時に大切な避難場所として機能していること、
川崎市内でも唯一の結核病棟があることなど、地域に欠かせない、頼られる市立病院としての担当者の方々の矜持を感じました。今後、厚労省は県知事の権限を強め、再編統合を進めようと図ってくるわけで、それは許されないと、本会議でも知事にしっかりあるべき姿を求めていこうと思っています。