神奈川県立武道館の避難所閉所と支援のみなさん
ネットカフェからの避難者を受け入れていた武道館を6日で閉所するという連絡が入ったのは昨日5日。国や県の意向でネットカフェが自粛しているからこそ受け入れていた武道館なのに、自粛が一か月延長なのに人々を追い出すのか?という思いで、状況をうかがいに、武道館に行きました。
県の対応としては3メートル間隔のブース的なベッドスペースをつくったり、入所者さんの要望で(私たちからも要望)でお湯の出るポットも置かれ、生活支援の担当課が入って福祉的支援につないで来られたことは知っていましたが、一時期80人近くいらした方々が短期間で全員行き先が決まったとは思えず…
しかし、福祉部局の説明を聞くと、
1.緊急避難的な施設で、感染予防の観点からも長期に開設するところではないという認識。
2.県と市の福祉部局が相談コーナーを開設し、すべての方の相談に乗ってきた。生活保護、無料低額宿泊所、県営住宅、自立支援施設、低廉なホテルなどさまざまな選択肢を確保してご案内してきた。しかしあと10数人の方が行く先が決まっていない。
3.福祉的な支援を敬遠する方もいらっしゃる。いったんそういう場所に居を定めてそののち生活設計をされては?とお勧めもしているがなかなか行政の支援を受け入れていただけない。(空調もないし、という理由は一番空調がいらない時期ではないかと思いましたが。)やはり定員を超える方々が多くいらっしゃるというのは好ましくありません。
4.すべての方に再度ご相談に回りたい。しかしみなさん最初から6日までとご納得しておられる。
などなどうかがいました。かなり丁寧なご案内をされていると思いました。ご自分で拒まれる方以外、最後の1人まで居所がさだまるよう、不安なまま出ていかれる方がいないよう努力していただくよう求めてきました。 武道館のことが有名になり、かなり遠方からご利用されている方もいらっしゃるということでした。
私が励まされたのは、武道館の外で支援に駆け付けてこられた横浜の寿町(簡易宿泊所が100か所以上並ぶいわゆるドヤ街といわれるまち)で路上生活者などの支援にあたっておられるお医者さんや、寿(ことぶき)炊き出しの会のみなさんなど、数人の方が、武道館の方々を心配してこの休日の間ずっと相談の机を出してくださっていたこと。血圧計もあり、通る方に体調はいかがですか?次の場所は決まりましたか?とお声掛けと、さらに丁寧な相談に乗ってくださっていました。(次の入所先を紹介されても手続きは自分で行うので大変なのですが、その辺の支援をされていました)
この方々は武道館の開設以来、県に処遇改善の要求をだされたり、炊き出しを申し入れてくださったり、日持ちのするものをさしいれしてくださったり、(差し入れは他の方々からも多く寄せられたといいます)ネットカフェの避難者の方々を支えてくださいました。
ありがたいことです。もう30年近く行われているという毎週金曜日の炊き出しの様子や、その財源(全国から現物を送ってくださる方々のネットワークがあり、行政にはお世話になっていないと)などお話を伺いました。
最近はその活動自体にバッシングがあって困るという話をされていましたが、せめて週に一度おなかいっぱい温かいものを食べてもらって生きる活力にしてほしいとおっしゃっていました。「味が悪いとか文句言われたりもするんですけどね」と説明してくださった方は朗らかに笑っていらっしゃいました。
少しでも安心な居所を、とがんばる行政職員と、生きていく支えをしたいと活動し続けておられるボランティアのみなさん。多くの方の思いに支えられてネットカフェより継続的で健康的な居場所を確保されますように。