上野公園の魅力再発見 国際子ども図書館の前を通り…
学生時代、私は教育学部国語国文科で、卒論が児童文学だったのですが、指導教官が児童文学者の鳥越信先生で、この鳥越先生の12万冊の蔵書の寄贈が1984年大阪府立国際児童文学館設立のきっかけとなりました。たった一度だけ行ったことがありますが、万博記念公園の中にあって、70万点の資料を有しているという子どもの本の専用図書館の存在は本当に大阪の人たちが羨ましいと思ったものでした。その後大阪府立国際児童文学館は当時の橋下徹大阪府知事によって財政再建の名目で中央図書館への統廃合案が持ち上がり、8万筆を超える府民の反対があったにもかかわらず2009年には統廃合されてしまいました。首長次第で市民の、国の宝の場所がなくなるのだと恐ろしく感じた一件でした。
子育てのさなか、東京にも国際児童文学館があると知り、ずっと憧れていましたが、まだ行ったことがありません。13日に「夏の夜の怪談話」を聞きに行く途中で見つけました。こんなにも立派な建物だとは。
13日は前進座の役者さんのご縁で「怪談話」をご案内いただき、講談と朗読の二つの形で楽しませていただきました。会場の応挙館は国立博物館の敷地にありますが、地図にも載っていない庭園のお茶室。講談をはじめから最後まで聴いたのは初めてです。円山応挙の幽霊の絵の話…そして朗読では一人二役を4人の俳優さんたちがこなし、牡丹燈篭の怖さが迫りました。エアコンのない薄暗がりの中というシチュエーションも相まって得難い体験をさせていただきました。この企画は東京国立博物館アンバサダー企画ということでした。確かにこの怪談話をきっかけに上野の森の新たな魅力を知り、国際子ども図書館も、もうすぐ国立博物館で開催される「神護寺」も鑑賞したいと思いました。通り過ぎた中には国立科学博物館もあり、例のクラウドファンディングで運営費を賄った館です。文化所管委員になってからいっそう文化的なものへの気持ちが強くなりました。