大山奈々子
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所得税法第56条 学習会 今は明治時代? 

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神商連婦人部協議会の学習会に参加しました。浅井税理士を講師に迎えて開かれました。

所得税法56条は「事業主と生計を一にする配偶者とその親族が事業に従事していても、対価の支払いは必要経費に算入しない」(要旨)と定めています。事業主の家族(妻、子ども、親族など)が従業員として働いている場合は、どんなに長時間働いたとしても、その給料は税法上の「必要経費」に含まれません。配偶者の事業専従者控除額86万円、その他親族の同控除額50万円を除いて、すべて事業主の所得に合算されてしまい、従業員としての給料と認められないのです。

(写真は翌日、選挙のご報告に歩いているときに出会ったナナちゃんと撮ったものです。)

業者婦人など、家族労働を正当に認めないこの税法は国の方でも見直しが検討、という答弁がされており、各地の議会からも廃止を求める意見書が出されている問題で、私たちは県議会に請願が寄せられればその都度採択の立場に立ってきました。この制度の中身を知り、論戦力を強めるために参加しました。

歴史的経緯から、最低賃金法との関係、諸外国の例、そしてこの税法が今なお存続されている真の背景まで約3時間。深く学べた学習会でした。

1950年の税制改正で、世帯単位合算非分割課税から個人単位課税になりました。これは個人の尊厳を基礎にしたものですが、同居する親族に関しては合算が残されたままです。56条の立法趣旨は「同居家族間の対価の支払いは恣意的に所得を分散する。それを防止するもの」としています。それならば恣意的でない、正当な支払いは所得分散には当たらないわけです。家事労働と明確な区分ができないことも理由にされるわけですが、今後、在宅ワークが普及していく中でこの問題の解決は不可避の課題だという展望も見えてきました。私たちは子どもをおんぶしながら帳簿をつけたりするんだという当事者の声が印象的でした。

家父長的な発想で作られた税制が是正されないまま、家族労働者がほぼ無給の労働力になってしまっているのです。現状240万人近い方々が法的に労働者とみなされず、最低賃金をはるかに下回る低賃金労働者を確保するための装置となってしまっている…

国勢調査でも家族従事者は無給の労働力扱いなのだそうです。

私は青色申告なら必要経費に合算されるのに、という論に対してどう抗弁するか説明をお願いし、白色申告よりはるかに煩雑でダブルワークを認めない記帳の形式が、実態にそぐわない点と、そもそも労働の対価を払わない人権侵害を記帳の問題にすり替えるべきではないという観点を説明を受けました。

私たち日本共産党県議団は、税を所管する総務政策常任委員会に委員をおけていないので、県民スポーツ常任委員時代に、人権課題として是正を求めました。人権懇話会などで議題とするかどうか検討するという答弁でしたがいまだ議題になっていません。

働き方改革をいうならまずこの56条をなくさなければなりません。

 


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