「神奈川の電機産業と軍需産業」の学習会
かながわ総研、自治体問題研究所、神奈川県平和委員会の共催で学習会があり、参加しました。
①「神奈川の電機産業と軍事生産職場の実態」は軍需産業の社員として働いてこられた海老根弘光さんが、②「防衛産業の多国籍化と日本の産業」については中央大学の村上研一先生がお話しされました。聴きごたえのあるお話でした。
聴いた感想としてはもう、軍需産業は一見そうでない企業まで広がっていて、ここまで裾野が広がっていて、戦争する国づくりが加速していることを突きつけられた思いでした。県の宇宙産業支援について軍事利用がないようになどと委員会で求めたものですが、実質そこの切り分けは難しいということも痛感しました。

印象に残った点を思いつくまま挙げます。兵器とは、市企業が生産するが国との契約なので閉鎖的な環境で取引される。特定の軍需独占資本の利益を守るため、国民の知る権利・民主主義を破壊する。軍需物資の購入が増大することは暮らし・教育・社会保障の低下につながる。国民の実質所得が減少し購買力が低下し、労働力の再生産の物質的基盤が低下する。
安保3文書※の改訂以来、防衛費の増額が1兆7千億円から5兆5千億円に。三菱重工は3652億円から16803億円に。軍事企業の売上割合を高めるには輸出割合を増やすことになる。日本防衛装備工業会加入企業は昨年で4千数百社。中には有名な食品会社も多々。2024年の防衛相の調達実績によると、契約金額10位までに電機メーカーが6社。それらの開発製造拠点は神奈川県内にあると言います。特に鎌倉は集中している。
※安保三文書(以下、三文書)とは、安全保障に関する最上位の政策文書である「国家安全保障戦略」(NSS)、目標を達成するためのアプローチを包括的に示す「国家防衛戦略」(NDS)、具体的な装備・人員・財源を定める「防衛力整備計画」(DBP)を指します。現行の三文書は2022年12月に策定され、NSSにおいて2027年度に向けてGDP比2%水準の防衛費を目指すことが明記されました。
軍需産業職場特有の問題として防衛秘密保全に関する労務管理があり、防衛秘密社業に従事する者は毎月防衛秘密保全教育が施され、それ以外に労働派の思想信条を個別に把握するために職場内に秘密の労務組織を作っている例があり、事務局担当者には秘密活動に熟達した県警の公安警察出身者が採用されていたりする。
②中国がいかに産業技術を発展させていてシェアも拡大しているか。
[中国製造2025]中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げる産業政策で、2015年5月に発表した。次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指す。建国100年を迎える49年に「世界の製造強国の先頭グループ入り」を目指す長期戦略の根幹となる。
これに基づき海洋エンジニアリング・ハイテク造船では中国の建造量は世界の52%を占め、航空・宇宙設備の分野でも国際宇宙ステーションはあっても有人宇宙ステーションを有する唯一の国が中国日本政府が有するドローンの9割近くが中国製、アメリカの商用ドローンも9割が中国製。EV車の輸出も中国が世界一、高速鉄道営業距離総延長のうち中国が約7割、中国は最高時速600キロメートルのリニアモーターカーを開発している。リチウムイオンシェア約7割、やレアアースの採掘シェア7割、精錬加工シェアの9割…太陽光パネルのシェア8割
[ルビオ報告]今後10年間で中国が米国を完全に追い越すことへの懸念とともに、それを阻止するために米国独自の産業政策の必要性が強調されている
① 中国の産業力は想像以上に拡大
- 「中国製造2025」を軸に国家主導で急成長
- 特に強い分野
- 造船(世界トップ級)
- EV・電池(CATL・BYDなどが世界シェア)
- 半導体(まだ遅れもあるが急追)
- 再エネ(太陽光・風力で世界の主導権)
- レアアース(供給の大半を握る)
- 宇宙・ドローン・AIでも存在感拡大
👉 結論:製造業の広い分野で「中国中心」に近づいている
② 米国は「封じ込め」に大きく転換
- トランプ政権以降
- 関税(対中高関税)
- 半導体輸出規制
- バイデン政権
- CHIPS法で国内回帰
- 同盟国(日本・欧州)と連携して対中規制
👉 グローバル化 → ブロック化(経済安全保障)へ転換
③ 米中対立の焦点は「ハイテク・資源」
- 半導体(最重要)
- EV・電池
- レアアース(中国依存)
- AI・宇宙・通信
👉 軍事と民生が一体化した競争
④ 日本は「米国側の産業再編」に組み込まれている
- 日米「経済版2+2」などで連携強化
- 半導体・AI・量子・バイオなど共同開発
- 防衛産業も日米一体化へ
👉 日本は独自路線より「同盟内分業」に
⑤ 防衛産業の多国籍化(重要ポイント)
- 米国主導で同盟国の防衛産業を統合
- 日本企業も
- 米国向け投資
- 共同開発・輸出拡大
- 造船・鉄鋼・兵器などで再編進行
👉 防衛が「産業政策の中心」になりつつある
⑥ ただし日本産業には厳しい側面
資料の結論部分が重要です👇
- 中国市場の喪失(最大の輸出先)
- 米国への投資増 → 国内空洞化リスク
- 人材・技術の流出
- 防衛産業は利益や波及効果が限定的
👉
「防衛産業で日本経済が復活するとは限らない」
むしろ産業基盤が弱る懸念
⑦ 総括(この資料の主張)
- 中国:製造大国として台頭
- 米国:同盟を使って封じ込め
- 日本:その枠組みに組み込まれる
その結果👇
👉 グローバル経済 → 分断経済へ
👉 民需中心 → 軍需主導へ
そして日本は
👉 成長戦略としては不安定・リスクが大きい
今日の学習会は単発で終わらず、かながわ軍需産業研究会「結成」学習会の位置づけだそうです。





