イスラム国の人質問題に小泉時代がフラッシュバック
「世界で頻発するテロ事件は集団的自衛権に起因するものが多い。アメリカと一緒に自分の国を攻めてくるかもしれない国を攻撃しておこうというのは考えられる。カナダでもオーストラリアでも最近ではフランスでもイラク攻撃が遠因となったテロが発生している。日本も集団的自衛権など言い出してアメリカとともに攻め込む宣言などしているといずれ狙われるし、そうなれば米軍基地が集中する神奈川は標的になる。」という趣旨の話をよく街頭でします。
以前に県議会某会派に「集団的自衛権行使容認に反対する意見書」を国にあげてくれと陳情にいったとき、集団的自衛権を認めると日本がテロに見舞われますよね、といっても首をかしげておられました。
人命をもてあそぶテロは断じて許されません。交渉術としてそんな手段は論外です。今回の人質を見て、私は彼らの生還を心から祈るとともに、安倍首相に対する怒りがさらに湧いてきました。テロリストの声明をお読みください。
「日本の首相はイスラム国から8500キロ以上離れた場所にいるかもしれないが、あなたは自ら進んで(対「イスラム国」の)十字軍への参加を志願した。我々の女性と子供たちを殺し、イスラム教徒の家々を破壊するために、1億ドルを得意げに提供した」と批判。「したがって、この日本人市民の命の値段は1億ドルとなる」
集団的自衛権のもつ恐ろしさをこの事件を機に気づいた人が増えることを心より願いたい。
恐らく日本の多くの人が、そして私も約十年前のイラクで日本の青年が殺された事件を思い出します。(イラク人質事件の評価はさまざまですが、様々な見解を包含しつつ、私の思いと近い、ジャーナリスト志葉玲さんのコメントを引用しました。)
香田さんという名前も記憶しています。小泉元首相が特措法を作ってまで自衛隊をイラクに派兵し、そのことがテロリストを怒らせ、自衛隊を撤退させることと引き換えに人質である香田さんの命をかけたこと。小泉元首相が見捨てたこと。香田さんが殺されたこと。ニュースを見ていてあれほどぞっとした事件はなかったのです。
憲法9条の国で、日本人が戦争がらみで殺された。日本の国が日本人の命を見捨てた。ということ。もちろん、結果論的には一国の政策をテロで変えさせた前例を作ってはならないという発想も理解できます。(同時期、フィリピンは同様の要求に応えて自国の人質の命を守りました)しかし、そもそも命を失うような可能性のある国策こそが誤りなのです。
『憲法9条にノーベル平和賞を』という運動は素晴らしいと思いますが、現状はまだまだその栄誉に追いついていません。志葉さんの言葉を借りれば「香田さんを最初から見捨てた冷酷な男を首相として祭り上げている国の国民の一人として。」そう思います。
日本国民はあの時香田さんを失っているのです。アメリカの子分になって常に戦争をしかけようとしている国の政府を作っているのが我々である以上、憲法9条の精神が本当の意味で生かされるためには、神奈川の基地から人々を殺戮する戦闘機が発進する事態を本当に卒業しなければと思うのです。
なお今回のイスラム国の人質事件では川上泰徳さんという元朝日新聞社のジャーナリストがこのようなツイートをしておられます。
欧米やアラブの強権国家と「イスラム国」の間は、戦争とテロという武力対決しかない論理が共通する。日本が主張すべきは、人道救援と非軍事的な問題解決を探る姿勢だ。「イスラム国」に圧力をかける時も、戦争に加担しない立場を明確にすべき。戦争の非軍事的な部分を担うのは戦争加担と受け取られる。
「イスラム国」の日本人人
質事件で、安倍首相は日本の支援は難民救援などで非軍事的とするが、カイロ演説で首相は「ISILと闘う周辺各国に支援する」と言い、アラブメディアには「日本が『イスラム国』との戦争に支援」という見出しが並んだ。「イスラム国」に敵対の口実を与えたことになるだろう。
コメント
「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」
安倍総理大臣の中東政策スピーチ(外務省ホームページ)2015年1月17日 於・日エジプト経済合同委員会
http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
あの2名が誘拐されたのが昨年の夏。それがこの時期、この声明が出された数日後の20日にあのビデオが流され、要求している身代金が面当ての2億ドル。交戦団体の一方に加担すれば他方から敵国扱いを受けて当然。お坊ちゃん首相は自分の言動が引き起こすであろう事態を予測することもできないシロート政治家なんです。
S氏
彼らは昨日今日人質になったのではないんですものね。政府も把握しておきながらの「お約束」ですからね。
22日の記者会見でイスラム法学者の中田同志社大教授が、昨年の九月に人質救出に「イスラム国」入りして外務省にも援助を求めたけれど、自己責任だと相手にされなかったと語っておられます。香田さんの事件のあとも自己責任論が嵐のように吹き荒れました。国民の命を守る政府ではもはやないということです。
イラクでインフラ整備など人道的支援に力を尽くしてきたベシャワール会の中村医師は「平和ボケなどとのんきなことを言っている人たちは世界の中での憲法9条の力を知らない。日本人だというだけで命を救われたことが何度もあった」と語っておられます。
もう、日本人のもつ平和のブランド力が失われ始めています。取り戻さなければ。
「日本人のもつ平和のブランド力」
昨年の集団的自衛権行使容認の閣議決定の際に、それに反対のある自民党所属の議員が「日本の平和主義ブランドの何が悪いのか~」と怒りの表情を浮かべてコメントしていましたね。
~かつて日本の対中東外交は、米国が仲介者として機能できないような対立関係において、陰に陽に仲介の役割を果たすことに、意義を見出していた。80年代、米国と直接のパイプをもたないパレスチナの代表を日本に呼んで、米国との話し合いの道筋を模索したこともある~
イスラムの専門家である酒井啓子さんが上記のようなことを言っています。かつて日本は平和主義というものを大きな武器にして巧みな外交を行ってきたことが窺えますね。ところが安倍首相はそれを捨て去り、アメリカの言うことには条件反射で従う。今回の事件の背景にはそうした事情もあるように思えます。とにかく無事に解決されることを願うと同時に、安倍首相では我が国の外交力は低下していく一方であると思わざるを得ません。
なめねこさま
お久しぶりです。
自民党議員、そんなことを炒った人もいて、
酒井啓子さんのお話、そんなこともあったんですね…。
まったく安倍首相では本当に世界に恥をばらまくばかりです。
菅さんは怯えているように思います。この期に及んで後藤さんのことを「もう一人の日本人」という言い方をしている安倍さんは人の生命をどれほど重くみているかわかりませんが、菅さんはこの事態におののいているように見えました。ここで自民党古参の議員の出番ではないでしょうか。
戦争してはならないと考えている自民党議員のみなさんに党内自浄を図ってもらいたいと思います。
今回、邦人の尊い人命が犠牲となってしまい追悼の念を禁じ得ません。しかしこのような状況は今の安倍政権の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」いや率直に言えば「戦争への道」路線を進めれば大変不謹慎な言い方で恐縮ですが、いずれ(遅かれ早かれ)邦人の犠牲という事態が現実化するその前触れの様な気がしてなりません。
また私は今回の安倍総理の発言自体の問題性を大山さんのブログ中で川上泰徳氏(私が大学時代から多分カイロ特派員等中近東専門の熟達の記者)も指摘していましたが私は安倍総理の発言自体も「軽率」であったと思います。
また海外にいる邦人の尊い「生命」を守るのも「政府」の当然の責務であるはずです。
安倍総理は昨日(25日)のNHK番組で今回の事件を契機として集団的自衛権行使容認を具体化する安保法制整備を推進する考えを示したといいます。
今こそ憲法違反の集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し憲法第九条を順守していくことこそが重要なのではないでしょうか。
鈴木様
どんな便乗を図ろうともさすがに命の重みを人々は痛感し、慎重に考えてくださるかと思いきや先ほどネット上でみた世論調査で安倍さんの対応を評価するが59%。目を疑いました。
NHKが後藤健二さんの「アベ」に言及した部分を消している件、神奈川新聞が後藤さんの母の発言から9条を消している件、いろいろなワイドショーで誰も集団的自衛権に減給しないばかりか、ある女性コメンテーターは「つかまえたらたまたま日本人だった」と言ってしまっている件…今回の事件で報道の不気味なまでの自己規制を目の当たりにしました。怖い国になってきました。
地方議会が歯止めをかけねばなりませんね。
ここに来て安倍首相が必死に責任逃れを図っていますね。
昨日のニュースによれば、「イスラム国が拘束した日本人2人の映像を出すまでは2人を拘束した組織がイスラム国であるとは特定ができなかった」と国会で答弁していたとか。責任追及をかわすための嘘だと思いますが、仮に安倍首相の言う通りだとすれば、今度は全く無能な内閣ということになります。安倍首相にはどれだけ自分が内閣総理大臣として恥ずかしい内容の答弁をしているかという自覚がないのでしょうか。他にも、共産党の小池氏から中東訪問時の演説について突かれた際の安倍首相の答弁の酷さには呆れました。
小池氏らの追及にまもとに反論できない安倍首相は、今度は「自分を批判する者はイスラム国の擁護者である」とのレッテルを貼って相手を萎縮させ、責任逃れを図ろうとしています。もう産経新聞レベルです。実際、小池氏の質問への答弁などを見るとそう感じます。
安倍首相は口では正義のヒーローを気取るようなことを言っていますが、結果責任を取るつもりなどなく、責任追及から逃れることばかりを考えています。こういう人物がいつまでも我が国の首相であってはならないとの思いが強くなっていきます。
なめねこさま
特定ができなかったとまで?それは言い逃れにしても終わっていますね…。
人質を取った集団もわからないのに自衛隊派兵して何ができるのかという話です。
さすがに昨日の駅頭では「もう!安倍を批判して安倍を!」と迫るご婦人がいらしゃいました。
でもネット上では創価学会の会員や自民党支持者が改心(笑)している話が散見され、あまりの安倍氏の……ぶりにさすがの彼のファンもくずれていくんではないかしら。頑張り時です。
昨年7月米軍の特殊部隊「デルタ・フォース」が捕虜となっていた米人記者2名の救出にシリアのラッカ付近を強襲したが、2名はそこからすでに移送されており急襲の後殺害された。11月にはイエメンで捕らえられたジャーナリスト救出に向かった特殊部隊特「ネイビー・シールズ」はやはり空振り、12月に別の場所を急襲したが警備兵と銃撃戦となりジャーナリストは巻き込まれて死亡。古くはイランの米大使館に監禁された米人救出のための大作戦は救出部隊自体の航空機事故で大失敗。
多数の現地協力者をもち、内通者や帰化米人による盗聴網、情報収集では世界最強の米軍でもこのありさま。ビン・ラディン殺害や無人機による反米派幹部殺害のように、ただ殺せば良い、破壊すればよい、というのではなく敵対集団の支配地から救出するとなると、軍隊による活動は非常に困難。協力者も情報網もなく現地の言葉もわからない自衛隊なんぞ出る幕はない、どころか出たら大損害をうけるだけでしょう。
安倍首相はそんなことはお構いなしに感情だけで動いている単細胞なのか、わかっているのに自衛隊を海外で実戦投入したいだけの戦争好きなのか、いずれにしてまともな政治家じゃありません。
鈴木様
失敗例がそんなに!
ツイッターでは、「武力投入して人質取り返せるって、ハリウッド映画の見すぎかよ」と。いい得て妙です。