パラダイムシフト
今年はとても醜悪なものを見ました。見続けることになりました。そしてそれは個人的なパラダイムシフトを惹き起こすこととなりました。今まで見えなかったものがよく見えるようになることはとても貴重な体験でした。そして引き換えに美しいものもたくさん見つけました。それは幸せな体験でした。
それはそうと個人的ビッグニュースは、私の息子に子どもが生まれた、つまり私に孫が生まれたことです。(かわいいでしょと見せたいところですが、このご時世、SNSへのお顔のアップは子どもたちから禁じられています)
赤ちゃんといえば、私と同じ名の娘さんに詩人が贈った詩があります。
吉野弘の詩『奈々子に』をご紹介します。
「奈々子に」 吉野 弘
赤い林檎(りんご)の頬をして
眠っている 奈々子。
お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。
唐突だが
奈々子
お父さんは お前に多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。
お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。
ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。
自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう
自分があるとき
他人があり
世界がある
お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた。
苦労は
今は
お前にあげられない。
お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。
(詩集『消息』1957年刊)
「他からの期待に応えようとしてどんなに自分をだめにしてしまうか」というところは、今、そうやって日々を送る身として全く共感しませんが、「お前にあげたいものは健康と自分を愛する心だ」これは痛く共感します。うちの子たちには、どんなにあなたたちが可愛いかを折に触れ伝えてきたためか、自己肯定感の高い子に育ちました。孫もそうやって強くなってほしいと願いつつ。
この子の歩む未来が平和で優しさと愛にあふれるものになるよう、大人の責任を精一杯果たさなければと決意新たに新年を迎えます。
今年も多くの方にお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
コメント
私は50代で大衆運動に関わるようになってからまだ日は浅いのですが、吉野弘さんの詩を引用している方を初めて見ました。彼の繊細でしなやかな詩を引用できる寛容さをもった県議さんが在住地の近くにいた事に感動しています。v narod!
ありがとうございます。なんといっても「奈々子」ですから(笑)
メッセージ調べましたよ。ヴ ナロード。《ロシアの革命的人民主義者(ナロードニキ)が唱えたスローガン。「人民の中へ」を意味する。》なるほど!
新年おめでとうございます。
well beingな社会の実現に向け、ご奮闘を期待しております。
一段落目の記述が大変気になりました。
ありがとうございます。chocolateさんをリアルに存じませんが、ともに奮闘いたしましょう。
一段目の記述は広い意味を含みます。読んだ方各自のご想像にお任せします。