水俣の里を訪ねる 経済と環境の「もやい※直し」
※もやい、は舟と舟をつなぎとめるもやい網や農村での共同作業のこと。「もやい直し」は対話と協働による地域再生の取り組み
視察2日目午後 視察に行った議員も事務局も教科書で習ったという水俣病。その歴史とその後を学ぶため、水俣市に向かいました。改めて被害の深刻さ、地域住民を分断した悲劇、そこからの再生の様子、学び続ける水俣。水俣条約への結実など、


水俣市立水俣病資料館は 近くに熊本県の環境センター、国立水俣病総合研究センターがあり、国県市で環境課題を考えるエリアとなっています。私たちは水俣病資料館をじっくり見せていただきました。
「魚(いお)湧く海」と言われた豊かな有明海。株式会社チッソは町の人々のあこがれの企業で町は窒素の城下町のような様相を呈していた。しかしその工場からの排水に含まれる水銀が人々の体を蝕み、奇病と言われる公害病が広がった。魚を日常的に食べていた市民が水俣病の発生により、漁ができなくなって生活困窮にも陥った。伝染病だと誤解され苛烈な差別があった。患者や家族が語るいくつもの動画、根本的な治療法がない中で一人の患者が半年間飲んだ薬の空き殻の量(人の胴体部ほどの量感でした)チッソの操業停止は死活問題と、チッソの家族からの工場操業継続の要望書や、水俣病という名前を変更すべしという運動の紹介。などなど多彩な展示内容でこの地を襲った公害病を多角的に把握できました。熊本県環境政策部水俣病保健課によるはじめて学ぶ水俣病





こういう悲劇を経て水俣は今や環境モデル都市として環境政策をけん引する都市として再生しました。2008年の認定を受けて市長声明
“環境モデル都市”認定にあたり
水俣市長 宮本 勝彬
この度、水俣市は、世界の先例となる「低炭素社会」への転換を進め、
国際社会を先導していくという第169回国会における福田内閣総理大臣
施政方針演説(平成20年1月18日)を受け、「都市と暮らしの発展プ
ラン」に位置づけられた取り組みとして、平成20年7月22日に“環境
モデル都市”に認定されました。
水俣市では、経済成長の過程で発生した水俣病の教訓をもとに、未曾有
の公害を経験したまちだからこそ、二度と公害を発生させない、環境にこ
だわったまちづくりを進めようと、平成4年に日本で初めて環境モデル都
市づくり宣言を行いました。
以後、環境基本条例を制定し、わが国でもいち早く、ごみの分別・減量
に取り組むとともに、水俣オリジナルの家庭版・学校版等の環境ISO制
度、環境マイスター制度、地区環境協定制度などを立ち上げ、リユース・
リサイクル、省エネ・省資源、市民の森づくりによる地球温暖化防止活動
や環境保全活動に市民協働で取り組んでまいりました。
本市の取り組みは、小規模な自治体ならではの、市民の高い環境意識に
支えられ、多額の経費を必要としない環境保全活動として、国内外の自治
体や民間団体のモデルとなり、これまで多くの視察や研修を受入れてまい
りました。
今回の認定は、水俣市民がごみ分別などに汗を流し、面倒なことを面倒
と思わず省エネ・省資源に努めてきた結果によるものであり、市民に与え
ていただいた栄誉だと思っております。
昨今の地球温暖化は人類共通の公害問題であり、これからも温室効果ガ
ス削減の取り組みや、汚染物質による環境破壊を未然に防ぐため、公害の
原点「水俣病」の教訓を日本の環境モデル都市として、全世界に発信し続
けることが、水俣市の使命であると考えております。
今後は、この認定を受けて、提案書に基づいたアクションプランを策定
し、その実施に向けた必要な予算等の支援をいただきながら、新産業分野
の開発・誘致等で、市民にも豊かで暮らしやすい、環境モデル都市水俣を
つくっていきたいと考えております。
水俣市民は、産業廃棄物最終処分場問題が解決した今、名実ともに環境
モデル都市となった水俣市の新しい門出を祝うとともに、今後も地域が一
丸となって、環境にこだわったまちづくりのなお一層の推進に努めてまい ります。
この延長で水俣条約※も制定されました。水俣条約の正式名称は「水銀に関する水俣条約」

水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護する目的で、水銀の採掘、貿易、製品や製造プロセスへの使用、排出等の規制を包括的に定めた国際条約です。
その前文には水銀のリスクに対する認識や国際的な水銀対策の推進の必要性、水銀対策を進める際の基本的な考え方について記載し、水俣病の教訓として、水銀汚染による人の健康及び環境への深刻な影響、水銀の適切な管理確保の必要性及び同様の公害の再発防止を記載しています。(日本の提案を受け記載)
さらにリオ原則を再確認しています。(汚染者負担原則及び予防的アプローチがリオ原則の中に含まれている。)
2013年10月には熊本市及び水俣市で水銀に関する水俣条約の外交会議及びその準備会合が5日間開催され、
60か国以上の閣僚級を含む約140か国・地域の政府関係者の他、国際機関、NGO等、1,000人以上が出席し、水銀に関する水俣条約が全会一致で採択され、92か国(含むEU)が条約へ署名しています。
辛い歴史と再生の道を学んだ施設を出ると海が静かに輝いていました。魚も実験に使われた猫も被害者だという声も聴かれました。今後全国的にPFASの公害も顕在化するでしょう。人類の発展と公害は不可避ですが少しでも過去の経験を未来に生かしていけるように個人も行政も学ばなければなりません。
この資料館は熊本全県から毎年小学校5年生が見学に来るそうです。忘れてはならない故郷の歴史を語り継ぐ未来志向の取り組みは貴重です。





