大山奈々子
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神奈川過労死等を考える家族の会 1周年記念シンポ

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皮肉なことに、働き方改革一括法案が強行採決された日に、真の働き方改革の必要性を痛感させる集会が開かれました。

昨年立ち上がったこの家族会。代表の工藤さんは10年前に横浜市立の中学校教諭だった夫さんを過労で亡くされました。設立総会での彼女の言葉の一つ一つが重く、痛切で、一年経った今、地道に運動をひろげ、国政要望や各地での講演など組織を引っ張って来られた強さも感じさせる代表へとなられました。

この日のシンポジウムは、

★グリーディスプレイの青年過労事故死裁判報告が 弁護団の川岸弁護士よりありました。(別な場面での報告はこちら

先例としての会社の過労事故死対策の社会規範化の意義 があるといいます。過労事故死がいままで過労死対策法の「過労死等」の対象になって来なかったということ自体が衝撃です。このたびの勝利和解によって、深夜不規則労働の過労事故の起こりうるあらゆる職場に対して対策を義務化するべきだという社会規範が打ち立てられる可能性が開けました。 

そして息子さんを亡くされたお母さんである原告の渡辺さんのお話。大切な息子さんの元気な時の姿から、精神的肉体的に追い込まれていく様子、事故当日の様子…何度も何度も語らなければならない辛さをおして、裁判で勝利和解しても息子さんは返ってこない。二度とこんな不幸がおこらないようにと証言されるお姿は本当に痛々しくも神々しいものでした。

「人間の限界をためすような働かせ方で生産性をあげるのは間違っている。労働時間と生産性は比例しないことが明らかだ。過労死のある社会は恥ずかしい。」

このご遺族の声が聞こえるか!安倍首相。面談を申し入れられても会おうとせず、高度プロフェッショナル制度という名の過労死促進法案をごり押しする血も涙もない政権への怒りが新たになりました。

★記念講演は、内田良先生(名古屋大学大学院準教授)の

『学校の日常を「見える化」する~部活動改革から働き方改革まで~』

私のブログに部活動の指導に当たる先生のご家族から悲鳴が届いたこと、そして身近な子たちが過剰な部活で燃え尽きてしまったことなどから県議会で部活動問題を取り上げ、週に二日の休養日設定のガイドラインが運動部文化部問わず高校に指示されることにつながりました。しかし何より私自身が労働者としての意識が希薄な教員だったことの反省もあって、ともかく興味津々でした。

印象的だったこと:

国で部活改革が進んだきっかけとなった先生たちのネット署名活動。そのきっかけは一人一人の先生が学校で働き方についてつぶやいていても周りからスルーされていた、しかしSNSでつぶやいたことから仲間が現れ、署名活動へとつながった。

部活は制度設計のない教育活動だということ。国語の授業が過熱しても、朝国語や昼国語なんてやらないでしょう。学習指導要領に基づいて教育活動が行われるのに、部活は一切それがない。

部活問題の解決として、学校部活では地方大会まで、と提起しておられましたが、私はそこは民間のクラブに行けるお金のある子だけがオリンピックを狙えるのかという体制の不十分さがあるので、すぐには同意できない思いでしたが。

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孤立する人をつなぐSNSの力と、無法地帯になりやすい部活の問題を再認識。神奈川県はよく調査をしている方だと評価されていました。まさにその調査から、部活の過剰実態を県教委が把握して改善につながりました。危険タックルをした日大アメフト部の問題は一つの学部だけの特異な問題ではなく、その危険性は中学高校段階でも秘めていると思います。勝利至上主義ではなく、科学的理論に基づいた、部活動の理想の在り方を社会的に探っていく必要があります。

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労働は本来喜びでなければなりません。真面目に働いた人が心身を傷め、果ては絶命するという悲劇を放置してこの国の成長はあり得ません。

 


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