湘北職業訓練校視察 モノづくりの原点
湘北建築高等職業訓練校は県立産業技術短期大学校の敷地に建つ、神奈川県認定の訓練校です。二つの建築組合が共同運営していますが県もサポートをしています。HPはこちらです。
職業を持ちながら技術を身につけたい訓練生も通っているため、土日だけの学校ということで、担当課には休日出勤をお願いすることになりましたが、建設組合の方々とともに、丁寧に課題をみせていただくことができました。木佐木県議とともにうかがいました。
築46年。
この実習棟のシャッターは開閉機能は大丈夫だそうです…
入口の建物を支える屋台骨のような構造物の下部が…
これも機能的には問題というわけではないそうです。けれど…
畳を作る実習中。エアコンなし。この日は風が吹いていたのでなんとかなりましたが、猛暑の夏は汗が滴り、ストーブが壊れているので寒い冬も手が凍えながらの作業だといいます。大勢で視察する我々を気にすることもなく集中して実習している姿がありました。
廊下の雨樋が緩んで雨が降ったら漏れてくるといいます。
二日前の水がまだ引いていませんでした…
このドアも
こちらのドアも渾身の力でひとたび開けたら閉まらなくなるといいます。
講義に使われるこの教室で暗幕が必要な場面があるにもかかわらず、閉めることができないとか…
一階の階段とロビー?を隔てる防火シャッターは閉まらなくなったけれど建築基準法的には設けなくてもいいものだったのでそのままになっているそうです。
使い込まれている椅子はまだしも
この机では線も引けませんね…
階段の下の亀裂。前に視察したことのある方が、広がっていると…
この屋根の下の実習棟にはエアコンがありません。今年度防水塗装はされたそうです、遮熱塗装をすると1~2度は下がるそうです。手前の緑の部分だけには施工されているそうです。
新卒の子もいるけれど、働きながら土日にはここで技術を身につける人も。塗装工の実習の時は、近所から匂いの苦情がくるので窓は閉め切るそうです。ストーブが壊れているので、個人のストーブを持ち込むことも。
電気が切れてもすぐに補充ができず、LED化など検討されてはと。
写真には撮っていませんが、女子トイレが全くの密閉空間であること、更衣室がないことなど、女性の活躍を阻む問題もあります。女子学生が入校することもあるし、工業高校が技能検定などで来校するときに女子生徒たちが困っていると言います。その子たちがここで学んで立派な職人になってくれる可能性もあるというのに。
視察後、教室を借りて懇談を行いました。
学校側からは優先順位はやはり空調設備だということ、ドアの改善もだされました。予算が年間170万の修繕費と聴き、これでは大規模な改善は難しいという声も。そもそも、築46年で大規模修繕や建て替えなど検討するべきという意見もでました。県としては危険な状態は優先して改善すると、さらに一体的にキャンパス全体をどうしていくのか検討中だといいます。
私は本会議で建設業界の後継者不足は知事も認識をしていると答弁があったこと、であるなら予算自体を増やすことと、まずはお金がなくてもできる更衣室の工夫なども求めました。女性の活躍推進といいながら窓も換気扇もないトイレではこの分野に女性が育たない。ということも指摘しました。
★そもそも建設組合が県からの要請に応えてこの学校が始まったという歴史的経過も語られました。県立川崎図書館は「モノづくり機能に特化」するため移転させられました。モノづくりの根本である建設関連の人材養成は重視されるべきです。
★私が印象的だった組合の方の話は、20代の建設職人は200人を切った。その一割をここで養成している。その意義を考えてほしいというものでした。
そしてこちらは隣接する産業技術短期大学校。こちらもみせていただきました。
同じモノ作りでも、前出の西キャンパスが大工・畳・塗装等「漢字系」ならこちら東キャンパスはグラフィック・エレクトロニクス・ソフトウエアなど「カタカナ系」の技術ですね。ここは新卒者対象です。食堂がないなど改善点はありますが、別世界のようなきれいなキャンパスでした。
二俣川は運転免許センター、ライトセンター、がんセンター、公文書館と県有施設が集中しています。視覚障害者の方が通うため、この駅周辺にはエスコートゾーンが設置されていました。横断歩道をまっすぐ渡ることが困難だという当事者の方のお話は、町づくりにも障害当事者が参画する重要性を感じました。東京大阪にくらべて圧倒的に少ないエスコートゾーンの設置も急務と思いながら帰途につきました。