『ジェンダー平等の実現めざして』に参加
1月26日 NHKwebニュースより。
「ジェンダーの平等を図ろうと共産党は、女性幹部を積極的に起用し、性別や性的指向に関わらず、力を発揮できるようにする政策の立案に積極的に取り組むことにしています。
共産党は、先の党大会で、社会の変化に合わせて16年ぶりに党の綱領を改定し、「ジェンダー平等社会」を作るとして、女性の社会的・法的な地位を高め、性的マイノリティーの人たちへの差別を撤廃するなどと初めて明記しました。
そして人事では、女性として初めて政策委員長に田村智子参議院議員をあてたほか、党の常任幹部会のメンバー、26人のうち、女性を8人起用し、その割合が初めて3割を超えました。
こうした体制のもとで、共産党としては、性別や性的指向に関わらず、すべての人が権利を保障され、力を発揮できるようにするための政策の立案に力を入れることにしています。
志位委員長は、「真の男女平等を求め、さらには男性も女性も多様な性をもつ人々も、差別なく平等に、尊厳を持てる社会を目指す」と話しています。」
という方針も出たところでもあり、自分の中で意識が弱い分野だとも思っていますのでぜひとも学びたいと申しこみました。自身の意識の弱さは、生きてきた時代もあります。子どもたち世代の意識の高さをみると、恥じ入るところがあります。また、私のキャリアの中では、賃金・職階等処遇の問題でも男女差別を意識する場面が少ない業種だったということもあります。前置きが長くなりましたが、このシンポジウムから大切な学びを得ました。特に印象的だったことを述べます。
朝倉むつ子さん (早大名誉教授 労働法ジェンダー法)
《賃金格差》日本の賃金格差26.6%はOECD諸国の中で3番目に多い。先進諸国はほぼ10%台なかば(これも残念)国税庁の29年民間給与実態統計調査では給与所得平均が男性532万円女性287万円。男性の54%!(非正規の7割が女性)
《格差の要因》勤続年数と職階
第一子の出産を機に退職する女性は約5割。1985年に男女雇用機会均等法が施行されたが、翌年入社した女性総合職の8割が2016年の調査時には退職していた。配偶者の家事育児時間の長短が妻の就業継続率を左右する。男性の働き方の問題。中国電力事件では昇進昇格に関する性差別が争われたの男女差別はないと判決が出たものの、業績加給賃金を高位順に」並べると女性社員の低レベル格付けは一目瞭然。
《労働契約法20条(不合理な条件の禁止)をめぐる判例は増加》
判例は諸手当の相違を違法とする傾向にある。問題は基本給部分の相違の不合理性をどう判断するのか、基準は不明。
《働き方とジェンダー平等を国際基準にするには》
女性差別撤廃委員会からの勧告: 同一価値労働同一賃金の原則を実施・男性の育児責任への平等な参加を促すこと・セクハラの抑止と制裁を定める法規定を設けること・ILO111号条約(雇用と職業における差別待遇の禁止)189号(家事労働者条約)の批准の検討・選択議定書の批准
《女性差別撤廃条約の選択議定書の批准を!》日本は同条約を批准しているが、選択議定書を批准できていない。選択議定書を批准すると個人通報制度が利用できる。最高裁まで争っても権利を認められなかった個人または団体がCEDAW(女性差別撤廃委員会)へ通報⇒締約国に見解を通告、国は6か月以内に回答を求められる。これまでに40カ国139人の個人通報を受理、28件を条約違反と認定。
☺なんと、日本は数多くの人権条約を批准しているが、何一つ選択議定書を批准していないのだとか。司法への信頼が揺らいでいる今、国際社会の側から日本の司法判断を変えていける!!!そういえばコスタリカ国民も国の外に働きかけていたなー国際司法裁判所だったっけ。
戒能民江さん (お茶の水女子大名誉教授 DV問題研究)
DV防止法が2001年に施行されたが裁判官含め社会全体の認識が今なお弱い。野田市の虐待死事件はDV事件だが、児相、教委、学校どの対応もDV理解、認識の不十分さを痛感。児童虐待の背景にはDVがあるが後景に追いやられている。
2019年1月25日に虐待死が発覚した野田市の事件は障害幇助ということで2019年6月、母親に懲役2年6月保護観察付執行猶予5年の刑が下った。母親は周囲に相談相手もなく孤立し、高圧的支配的言動を重ねる夫の意向に抗えなかった。父親はしつけのためにやった、悪いことをしたとは思っていない。
DVの影響。母親は逮捕されたが、当然視されている。どうして虐待をとめなかったのかという論調。(娘が殴られていれば自分が殴られないという発言をうけて)「信じがたい保身」と書いた記者がいた、想像力にかけているが、社内から批判の声が上がり、専門家に学ぶところとなった。メディアにも女性が増える必要性を感じる。DVとは暴力による相手の支配・コントロール。心身への影響のみならず感情や思考・判断力胃の支配と麻痺。
目黒の同様の事件は母は共犯として懲役8年の判決
野田市の事件は弁護士がジェンダーの視点を持っていた、母親が被害者である側面を無視してはいけない。母親の人生や残された子どもの人生をどう見ていくか社会の問題として考える構造的な視点が必要だ。
婦人相談所という母子を共に保護できるしくみがあるのに。相談してよいとは思っていなかった。暴力被害は自己責任だとする社会。現行の婦人保護事業はあまりに予算が少ない。総事業費は2020年度206億円。戦闘機2機より少ない(1機116億円)女性の権利という視点がない。
国連女性に対する暴力特別報告者ラディカ・クマラスワミ
「社会の軍事化は暴力文化をもたらす」家族や社会の紛争解決手段としての暴力容認へ
これは日本語学校で教室で騒ぐ中国人学生に対する制裁として韓国人学生が数人で殴った事件に直面した際感じました。(実際、従軍経験のある学生たちが多かった)、軍事力を肯定している国はいとも簡単に混乱の解決手段として暴力を選ぶのかと唖然としたことがある。当時平和憲法がしっかり生きていた日本社会にあって本当に異様な事件でした。
田村智子さん(日本共産党政策委員長!女性初)
ジェンダーギャップ指数世界121位は有名になったが、教育分野0.994(65位)健康分野0.979(41位) 経済分野0.595(117位) 政治分野0.081(125位)となっている。
IPU(列国議会同盟)(170超の加盟国・地域が加盟 平和と諸国民間の協力推進、代議制諸制度の確立に資することを目的)におけるジェンダー平等の取り組み ☺知らなかった―こういう国際会議。田村さんは議会運営委員の一人として国際社会の舞台を踏んでいてその報告がいつもおもしろい。
この会議に出た際、アフリカなど戦後独立した国々の女性議員パワーに圧倒されたと。初日、女性・子どもの権利に関する分科会へ。選挙制度についていかに女性議員の比率を高めるか、2,3割を実現している国から当選可能な位置での立候補などが提起され、日本の選挙制度の議論にまるでその視点が抜けているレベルの違いを痛感、急遽発言した。
「わが身に反省を刻み付けるためにも発言したい。選挙制度の議論をしているときに女性の割合をどう増やしていくかという視点が欠如したまま選挙制度の議論がされてきた・女性の問題が一度として問題になったことがない」
《7つの行動計画》
女性議員の数にかかわらず、あらゆる議会が導入できる7つの行動
こちらです
女性への抑圧が眼に見える形で行われてきた国々が、女性の政治参加と女性の権利獲得とを両輪の取り組みとして力強く前進させてきた…
この後のシンポジウムでのQ&Aや田村さんの政策委員長としての決意など面白い話がもりだくさんだったのですが、とりあえずここまでとします。
シンポジウムの締めくくりはやはり、戦前の家父長制をよきものとし、憲法改悪にひた走り、むしろ女性の活躍の障壁となっている安倍政権を終わらせなければということはもちろん参加者の共通認識です。私は地方議会から何を提案していけるか、宿題をたくさんもらって帰った思いです。