龍城ヶ丘公園樹林帯でミチゲーションを学ぶ
ミチゲーション
環境アセスメント用語集(環境省)
開発事業による環境に対する影響を軽減するためのすべての保全行為を表す概念。
豊かな海と暮らす平塚市民の会のHPで知った、龍城ヶ丘樹林帯観察会に、7月12日、上野県議とともに参加しました。龍城ヶ丘・袖ヶ浜の環境と生活を考える会の共催でした。横浜国大名誉教授にして元国際植生学会の元副会長藤原一繪氏を招いてのフィールドワーク。
私は思い知りました。環境常任委員会での保安林指定に関する追及が甘かったことを。ここにも神奈川の温かい歴史があったことを。津波に対するミチゲーション効果を。(初めて聞いた言葉でしたが、環境農政委委員としては知らなければならない言葉)
参加者は40名。樹林帯を外から中から歩きながら観察。ほとんど初めてお会いする方ばかりでした。メディアの方、サーファーの方、自治会長、地元市議、立場も年齢も様々な方が集いました。県に対してこの樹林帯の保全を求める申請をされた方もこの中にいらっしゃるのだろうなと思いつつ。
先生は植生生態学のご専門。木々の名前を(私はほぼわからなかったけれど)、愛おしそうに紹介されるのを聞いているのと実に貴重な時間だと思えました。「葉っぱのこういう生え方が津波の引き潮の勢いを低減する」「多様な植栽が密集することが災害に強くなる」「東日本大震災では天然林が津波に耐えて地域の被害を少なくした」などなど。
先生は1983年から1985年にかけて平塚海岸の防災林再生のため広葉樹を植える実験をされました。1万人10万本計画3万人30万本計画を当時の長洲知事主導で実施。フィールドワーク後の座学ではフィルムの中に笑顔で植林する長洲知事の姿がありました。
先生は松の再生と、広葉樹と混植することでの防災林としての機能強化に貢献され、今では国内外の自然林再生指導、災害に対する森林のバリア形成の研究に携わっておられるそうです。
座学の中では、海岸の形が似ている動画を探したという方から千葉の津波の勢いが樹林帯によって低減され、市街地に到達するまで1分近い時間を稼ぐ動画も流されました。
平塚市も神奈川県でも津波に関する防災効果を樹林帯は持ちえないという認識でしたが、これは間違いでした。私も砂防林としてのみ保安林指定を考えているという県の話の陰に隠された津波ミチゲーション効果を無視する発想をこそ追及しなければならなった。
いのちを守るために県が実施した植林の歴史を無視して開発に明け暮れるハカイダーはもうたくさん。白砂青松の浜は津波に弱いという先生の言葉、樹林が密集すると強い、という言葉、耳に残っています。こんなに一生懸命、自然と暮らし、命を守ろうという人たちの思いを、無にしてはならない。平塚市の公園開発計画では樹林帯を伐採してから何らかの植樹を行うのだとか。「苗から植えても成長するまで30年以上。今ある樹林をいかす計画にするべき」
閉ざされていく県立高校と樹林帯の姿がダブるのでした。市民と力を合わせて防波堤にならねば。
平塚の松本市議から聞かされてきたこの樹林帯問題。背景には国がすすめるPARK-PFIという手法(飲食店など公園内の施設から生じる収益を活用して、周辺の園路、広場など公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募で選定する)で実施しようという平塚市の思惑があるといいます。市民のみなさんは公園整備には反対しておられません、何もこんなに貴重な樹林帯を伐採するほどの規模でやらなくていいのではないかという提案です。
コメント
先日の観察会にご参加いただきましてありがとうございました!
本当の専門家が語ることはこうも心に響くことを実感した観察会でした
地元平塚の中でも最も影響の大きい龍城ケ丘自治会の住民にアンケートをした結果は、86%の方が計画反対または見直しを希望しています。
https://twitter.com/pinballof1970/status/1282925575917600770
神奈川県は平塚市が言っている、この龍城ケ丘樹林帯は切っても防災上問題ないという言葉を信じているのでしょうか?
地元在住の住民は保安林申請という異例のことをしてまで、平塚市の言うことを信じていません。
是非とも県の行政を動かしてください!
何が重要なことなのか、何をすれば良いか、何をしない方が良いのか。
そこで生きている人々の言葉こそ本来行政が聞くべき言葉だと思います。
小林様
観察会、素晴らしかったですね。県の担当課と一緒に参加したかったです。
先生のお話はもちろん、これを企画し、報道機関や超党派の議員への呼びかけ、津波の影響への探究。生活者として主権者としての意識の高さに脱帽といった感じでした。
アンケートもありがとうございます。そうそう、何より、被害を被る当事者の思いを行政はうけとめなければなりません。経済優先で命が軽んじられてきた過去からの脱却がポストコロナの命題です。力を尽くしたいと思います。