大山奈々子
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保土ヶ谷養護学校舞岡分教室

ブログコメント2

まず、この写真をご覧ください。県議団と戸塚区の県政教育部長大和田さんと加藤前県議。舞岡高校の下のプレートに保土ヶ谷高校舞岡分教室の名が。県内初の分教室だそうです。

分教室はかつて特別支援学校の整備が間に合わない状況の中で、「緊急避難的」と評され5年間で解消といわれた形態の県立高校の空き教室を借りる形での教育形態です。それがもう17年も続いています。あろうことか県は5年で解消を忘れたのか「新たな学びの場」と位置付けています。4年前、2.3の分教室を視察した際、校門にその存在が記されていないこと、インターネットにも出てこないことに衝撃を受け、議会で改善を求めました。その結果このプレートが工業高校の子の手によって作成と聞きましたが設置されたのです。

下校中に写真撮ってくれた舞岡校生、ありがとうございました!

現場の先生たちはもちろん限られた教育資源の中でなんとかして奮闘しておられることがわかります。舞岡高校でも農業体験など地域の力も借りて豊かな学びにつながるとりくみがありました。でも、です。現場の力でいかんともしがたい状況は、放置してはいけないのです。県立高校の部屋5部屋しか借りないので次のような不具合が生じています。職員室兼保健室が1つ。教室が3つ。多目的室兼更衣室が1つ。教室は本校、保土ヶ谷養護の二倍の定員です。

更衣室兼職員室 養護教諭は非常勤で夕方は不在です。
教室の後ろの更衣スペース。壁際に立たないロッカーが不安です。
教室前の廊下です。

職員室と保健室が同じ部屋でプライバシー筒抜け。高校の特別教室を使わせていただくという間借り感。(舞岡分教室ではカリキュラム編成の時に体育2時間、音楽1時間は高校側に求めて確保していただいたということですが、4年前に訪れた他の分教室では空いているときに使わせていただいているという言葉を聞きました。)

図書室をつかったことはない。理科の実験室も使ったことはない。本校にある給食が分教室にはない。

こんな高等部の生徒を生み出しているのです。廊下には備品が積まれて防災の観点からも非常に危険です。子どもたちも先生も多目的室で更衣します。ロッカーを立てた不安定な更衣室です。教室の後ろをカーテンを吊って着替え場所を確保している部屋もありました。

分教室といいますが、行事を一緒に行う本校まで電車を使うと1時間もかかります。舞岡では本校のスクールバスを使うのだそうです。これもよく聞くのですが、「あなたたちは○○高校に通ううけれど○○高校生ではないんだと、生徒にも保護者の方にも理解していただくのが難しい」と先生方に聞きました。私が以前視察した分教室ではお揃いのトレーナーを着ていましたが背中に「FIGHT!BUNKYOSHITSU!」と書いてありました。

教育委員会から見たら長い県の教育行政の一区切りかもしれませんが、子どもたちが多感な時期をすごす貴重な3年間。

財政が厳しいといいながら国際バカロレア認定資格という必要性が疑問視されるものをとるために何億も使って1校だけ施設整備を過剰に行っています。県行政全体では他県と比べても破格の企業誘致助成金や要らない駅や要らない道路を作っています。全国で20も分教室がある都道府県はありません。ともに生きる社会かながわという理念は念仏か!

新たな学びの場として位置付けた分教室を恒久化している問題について教育委員会に問うた際、インクルーシブ的な意味合いもあると回答があったけれども、生徒たちの日常的な交流がないことはいろいろな証言で明らかです。それでも文化祭の一角に手工芸品を出店した話などはほっとさせられるのだけれども。

でも。そう、ここでも子どもたちの明るい笑い声が響いていました。生き生き活動する姿も見られました。教育は、だから怖いのです。教員や学校や自治体が手を抜いても、向日性のある子どもたちは伸びていこうとします。自らが置かれた環境を客観視なんてしてる暇はないのです。同世代がいるととりあえず楽しいのです。その笑顔は周りの大人の教育実践の成功によるものだと見誤ってはいけないのです。

子どもがうまくその才能を開花させられないのは本人が努力しないから、家庭に問題があるから、と言い訳可能なのが教育です。厳密に諸環境の因果関係が評価できないのが教育です。自らのとりくみに甘い人間が教育に携わることは子どもにとって悲劇です。住む自治体が違えば、図書室もつかえたのに。のびのび体育もできたのに…。防災の観点では命も左右されかねません。


コメント

  1. 匿名より

    分教室の情報ありがとうございます。
    わたしは、現在神奈川県内の公立小学校で特別支援学級で勤務しています。

    将来、分教室は受け持っている児童の進路の1つであると考えると、
    今の現状の分教室では、小学校の特別支援学級を経験している児童にとっては、
    違和感しか感じないかもしれません。

    何年経っても、物的環境の改善が見られないのが本当に残念ですし、
    そこで働いている先生方も制限されている中での教育活動には頭が下がります。

    わたし自身も、小学校の特別支援学級の経験を生かして、
    特別支援学級と似た環境である分教室の改善に向けて、
    新しい風を入れたいと思い、近い将来、分教室で働き、
    生徒のためにがんばっていきたいと思います。

    大山先生の活動、応援しています。
    分教室の生徒や先生のためにもよろしくお願いします。

  2. 大山奈々子より

    匿名様

    お名前承りましたが、この場に公開する以上は匿名の方がいいかもしれないと思いましてそうさせていただきました。
    コメントありがとうございます。
    緊急避難的措置なのだという意識が皆無で、特別支援学校の整備が遅れているという認識も希薄な県の教育行政です。本当に現場の教職員のみなさんには頭が下がります。
    子どもたちはどこにいても環境への客観的批判はできないものです。だからこそ大人が責任をもって環境整備をしなければならないと考えます。
    頑張ってください。私たちも頑張ります。

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