大山奈々子
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「国連障害者権利員会が日本政府へ総括所見」 神奈川では…

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この記事を本日の赤旗にみつけ、ネット上でこの審査の経緯は見ていたので興味深く読みました。日本の主な障害者団体が加盟する日本障害フォーラム(JDF)には障害の種別や要求が異なる13の障害者団体が加盟していますが、17年度からパラレルレポート作成に向けて動き始め、討議を積み重ねて多様な障害者団体の意見を取りまとめてこられました。団体によって意見が異なる事柄について権利委員会にどのような勧告を求めるのか調整をしてこられたこと(入所施設が必要という団体と廃止を求める団体がお互いを理解しようと実態調査をされる話など)がわかり、物事の推進力たる市民力を感じました。

さて、神奈川県はこのたび第三回定例会で、「当事者目線の障害福祉推進条例」を策定しました。津久井やまゆり園事件をきっかけに県の福祉施設のあり方ふくめ検討を重ねてきた結果です。この策定にあたって共産党県議団の果たした役割は重要でした。厚生常任委員会に骨子案が示された段階で、私たちのもとには県民の皆様から様々なご意見が寄せられました。それらも踏まえ、石田議員が厚生常任委員会で、あるいは井坂議員が代表質問で次のようなことを求めて改善されてきました。

①前文に障害者権利条約の文字が一言も盛り込まれていませんでした。世界標準の精神を盛りこまないことはありえません。障がい者の人権や、尊厳をもって生活する権利を謳う障害者権利条約と障害者差別解消法の理念を盛り込むことを求め、趣旨が記載されました。

②「障害を理由とする差別虐待等の禁止」を明記すべきと要求。「何人も…尊厳を害する行為をしてはならない」と明記されました。

③障害を理由とする差別に関する相談窓口の強化と紛争の解決を図る体制を要求。第13条に「体制を整備すること」と「あっせんを行うこと」が明記されました。

④「人材確保」のために「財政上の措置」を義務規定にすべきと要求。「人材確保、育成」は義務規定に修正され、就労実体の把握を行うことも明記されました。

⑤「計画の策定段階から当事者が参画した検討委員会の設置」について、今後の見直しの際には設置すべきと要求しました。

条例案は「多様なニーズに対応できる受け入れ態勢の整備・拡充、担い手人材の育成・確保、処遇改善を担保するために財政支援と推進体制の機能強化」の意見が付されて本会議で全会一致で可決されました。

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障害者権利条約に言及のない障害福祉推進条例になってしまうところだったかと思うと冷や汗が出ます。また、努力義務どまりだった財政措置も義務を明記されることで実効性のある条例となります。障害を理由に家を貸さないといわれたとご相談を受けた例があり、対応する部署がくっきりしなかったことを思い出しますが、差別禁止とその相談窓口強化も大切です。

返す返すも残念なのはやはり⑤番に書いたことです。当時者を排除した策定経過だったことです。知事は障害当事者の声を聴いたと自慢しますが、(主に知的障害の方たちを中心に)意見を参考までに聞くというスタンスは、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という障害者権利条約の根本理念を踏まえたものではありません。計画の主体として当事者参加を意識すること。

鉄道各社がせっかくホームドアを作ってもその車両の位置を示すシールの場所がばらばらだったと知った時の失望…当事者でなければ気付けないことばかりです。今後の県の障がい者施策には十分に意識させていきたいと思います。


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