愛知県で学ぶ 朝鮮学校 中小企業支援他
5月28日 視察初日は愛知県。神奈川県に比較的近い規模と財政力をもっているため、私たちが全国比較の数字を比較するときにはよくお願いする県でもあります。いくつかのケースでは先進的な面を知り、先進的かどうかわからない面もふくめてたくさん学びたいことを議会局のご担当に伝え、調整していただきました。神奈川県と愛知県の両議会局の方にはとてもお手数をおかけしました。
本県の本庁舎のような歴史を感じさせる庁舎はやはり重要文化財。お昼は職員食堂で。神奈川県庁から職員食堂が消えた今、憧れもあって私は最後一つとなっていた和定食。井坂さんに譲ってもらい、井坂さんは味噌カツ定食。名古屋ですからやはり赤だしのお味噌汁の中に具がたくさん入っていたこと、赤いウインナーに丁寧に切り込みが入れられていることをはじめ細部に優しさを感じたのは気のせいでしょうか。(町のレストランでもよく思うのです。値段以上のサービスはしないよっというお店と、少しでもおいしく美しく食べさせたいという愛を感じるお店)780円。市価の2/3といったところでしょうか。とても美味しかったです。高齢者のみなさんがたくさん働いておられ、雇用形態はわかりませんが、雇用創出の場であることは確かです。チケットはプラスチックの札を手渡しで買うしくみ。壁にはなんと漫画雑誌が並んでいるコーナーも。ランチタイムは2時まで。そのあとは4時まで喫茶タイムかな。お客がひけるとスタッフのみなさんが一つのテーブルを囲んでおしゃべりしながら食事をとっておられました。気取らない昭和レトロな空間でした。隣接してメガネ屋さんが出店されているのも興味深かったです。「ぜんざい」というメニューもあり、食べたい衝動を抑えつつ懇談の場へ。
神奈川県は10年ほど前に職員食堂を廃止し、1階のともしびショップも廃止し、職員や県民が集まって食べる場所は一切なくなりました。それなのに観光客にきてもおうと東庁舎最上階に作った横浜3塔を見渡せるレストランスペースのテナントが決まらずだだっ広い空間が3年も放置されています。愛のない話です。(;^ω^)
(木佐木議員はおばあさまが亡くなり、葬儀で山口へ。愛知視察は同行が叶いませんでした)
さて、懇談。以下の項目を約3時間で行うにはやはり時間が足りなかったという反省があります。特に最後の方は駆け足でほとんどご説明をうかがうだけになり、失礼いたしました。しかし、勉強になりました。月始めに行った町長懇談のまとめが半分しかできておらず、6月には本格的に議会が始まるので、ほんの一言ずつ感想を書きます。
■県民文化局
●愛知県の人権尊重の社会づくり条例制定の背景や取組について
私は神奈川では差別禁止条例を本県で求めても実現しないためそれに近い趣旨の条例をもっておられることに関心がありました。差別の4本柱の一つに部落差別問題があったことに、東よりその問題が深い西の課題意識をみました。有識者会議では単発の有識者会議ではなく審議会を設置する必要性が示され審議会を設置して取り組んでいる。
東京 大阪 川崎の先行の人権条例を見て東京をお手本にした。何かあったら概要を公表するという条例にした。
愛知県内市町村の多くが先行して同性パートナーシップを導入している中で、県が後発でファミリーシップ制度を導入。神奈川県では市町村すべてが持っている中で県は必要ないと言っているが、広域の県が持つ意味は?これには即答で、身近なところで申請することに気がひける当事者の方たちがいらっしゃると聞いた。そういう場合の申請先の選択肢を増やす意味がある。なるほど!人権条例制定にあたり丁寧に県民の声を聞いてきた所管らしい回答でした。
●子どもの権利擁護と朝鮮学校への補助金継続の関連性について
国が高校無償化の対象から外している中で補助金を継続する約100自治体の一つ 都道府県では2022年度で11県で、愛知県はその一つ。①朝鮮学校に通われている生徒は日本で生まれて日本で暮らしている。教育基本法に定められた教育の機会均等の考え方に即して ②インターハイや中学校体育大会への出場、通学定期や大検資格などいろいろな資格取得が可能になり社会的認知が広がってきている ③国から補助金を見直しに関する通知が来たときに大村知事が記者会見での「北朝鮮のミサイル発射核実験は断じて容認できない。しかし 子どもたちの教育については切り離して考えていくべきだ」という発言を行った。
この3点で支給を行っている。誹謗されたらどうこたえるのかと聞くと「それはもう教育の機会均等の考え方で粛々と行う」と対応するとのこと。普通の人権感覚のある人物がトップにいると職員も正義の立場に立てるものだと思いましtあ。
■教育委員会
●学びの保証について(外国籍の子ども及び特別支援教育)
外国籍の子の就学率は94.5% (神奈川は90.8%)学齢期の対応は市町村事業になるが、住民票があれば新入学の段階で学齢児には案内を送るし、返事がない場合はたずねていく。どこにも通っていなそうであれば例えばブラジル人学校はこういうところがあると紹介する。市町村によって徹底ぶりに差はあるが学齢児を見落としてはいけないと、民生委員の家庭訪問や訪問職員が行く。通訳を確保したり、翻訳アプリなどで対応。県では若者外国人みらい応援事業に取り組んでいる。
特別支援教育 教室不足は神奈川県と似た感じ。しかし分教室という形態は2教室だけ。長時間通学の山間地域と半島先端地域、のみ。
インクルーシブ教育は特段ない。特別支援教育コーディネーターは全校配置しているが、兼任なのでその方が支援教育の方で授業を抜ける際に後補充の仕事をできる教員配置は23.6%にとどまっている 神奈川も各自治体一人ずつに過ぎない
■労働局
●中小企業人材確保奨学金返還支援事業補助制度について
これは私が予算委員会で求めて今はやらないと拒否された制度。奨学金返済を企業と一体に支援するしくみ。企業の負担になると断られたと話すと、確かに本当に小規模の事業者さんでは厳しいかもしれないが、ありがたいという声はたくさんいただいている。最大60万円(他県は10万円程度が多い)を補助し、制度に当たって企業の登録は無料。県のHPで申請用紙をダウンロード。企業のメリットとしては人材確保と同時に企業名を掲載しイメージがあがること。今年度から37企業が登録。業界を限定せず公平感を重視した。
国や他県を注視するといった神奈川県にくらべ、こちらのご担当は朝日新聞でこういう取り組みが広がっている、やっていないところが少なくなったので取り組まなければいけないと担当課が考えていて議会質問とかみ合って実現したところが素晴らしい。
■経済産業局
●物価高騰対策をはじめとした中小企業への支援について
実にたくさんのメニューがあって驚きました。トヨタの城下町といわれるだけあって、トヨタの展示会への支援などもあったのは土地柄か。
●■愛知県の企業誘致制度の概要、雇用条件や県内雇用数の要件
これは…かつて調べた時より融資額も爆あがりしており、県内雇用も県内発注も要件にしていないことは本県と同じ。ちょっと…驚きました。経済波及効果は企業誘致策に関しては正確に計測できないもの。予算が100億を超えて大企業も十分対象にしているところが地方自治体の取組として大いに疑問でした。そんななかでも市町村と連携して支援を考える仕組みはそれぞれに大サービスするよりは抑制的になる仕組みかもしれないと思いました。
例えば数年前に見たメニューでは神奈川県は横浜市の誘致制度を考慮せず別々に多額の支援を大企業に行ってきています。
■福祉局
こども基本法や改正児童福祉法を受けて愛知県が検討していること
社会的養育経験者、つまり児童養護施設や里親などのケアを卒業したケアリーバー支援として県内2カ所の福祉相談センターに就労面を専門的にサポートする職員を今までの生活相談担当と支援コーディネーターに加えてひとりずつ配置する。進路や就職の相談に乗ったり自立後も定期的に連絡を取ったりするという。これに関しては神奈川県が初年度の入学金や学費などの財政支援を行っていることを伝えましたが神奈川県の人員配置を調べなければと思いました。
神奈川県の施策を磨いていくうえで参考にさせていただける資料をいくつかいただいたので生かしたいと思います。欲張りすぎて時間が押してしまったので駆け足でご説明を聴き質問も絞られ、その点は反省です。関係者のみなさん、ありがとうございました。