大山奈々子
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米兵性犯罪と、津久井やまゆり園事件に通底する警察の情報提供問題

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今回のブログは長いけれどぜひぜひお読みいただきたい情報です。26日は8年前に相模原市にある県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が殺害された痛ましい事件があった日です。追悼式も行われわが県議団からは井坂議員が参加しました。この事件では事前の警察の対応に大きな問題があったと考えていて当時加藤なを子議員が本会議で追及しました。これは後述します。

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奇しくもこの日は沖縄で発生した米軍による性犯罪を機に県警にヒアリングしました。昨年12月から半年間地元自治体である沖縄県に情報提供がされておらず、神奈川県でも同様に2021年から2件が県に情報提供されなかったことが報道されました。警察が知りえた情報を地元自治体に共有するしくみについて国際捜査課にヒアリングしました。下の図は1997年の日米合同委員会での合意事項。HPにあります。(警察はまず書類をくれません。口頭の報告をこちらが聞き取る形)図が見にくい方はこちらをご覧ください。

このフローチャートをみながらヒアリングしたが、このタイトルは沖縄となっているが、だいたいどこの県もこれに似ている。

Q:県との情報共有のしくみは?A:それぞれの都道府県警の判断になるので沖縄のことはコメントできない。神奈川県警では米軍構成員等に関する情報提供では、基地対策課から依頼を受けて、年に1回過去5年間の犯罪件数と交通事故に関する推移を報告している。昨年は10月3日の社会問題健康医療対策特別委員会に資料配布で情報共有を図っている。

Q:基地対策からの求めは件数だけか?詳細については? A:犯罪について現に捜査中の物について個別に通報することはない。一般論として米軍によるものであるかないかを問わず、対外的な事件について広報や他機関への情報提供に関しては刑事訴訟法の第47条に決まりがある。

第四十七条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。

(これは外務省の説明と合致している。外務省は「公判の開廷前にはこれを公にしてはならない」とだけ答えたが、畑野君枝前衆議院議員が「公益上の必要その他の事由があればこの限りではないと続いているでしょう?」と追及していました。)

Q:神奈川県警だけで判断しているのか A:神奈川県警だけで判断する。公益上の必要性とともに関係者のプライバシーや将来の捜査への影響を勘案して判断する。例えば米軍人によらず県民に知らせなければならないことは、刃物持って逃げている場合など個別案件によって判断する。

Q:殺人事件は情報が知らされるのに魂の殺人と言われる性犯罪はそれより軽く見ているということか。A:殺人事件は秘匿する必要がない、新聞報道等でもされる。警察からの広報と行政機関の情報伝達はイコールではない。広報するけれども伝達しないこともある。

Q:例えば沖縄の件は12月の事件がきちんと伝えられていたら県が米軍に抗議し再発防止策を求めたり、県民に警戒をよびかけることもできたはずだが。あれが神奈川県で起きていたとしたらやはり隠すのか A:県民には周知しなくていい。性犯罪は被害者に対する二次被害の防止、報道による精神的苦痛の配慮、プライバシーの保護など個別に慎重に判断している

Q:被害者が傷つくから報道しないということになるのに、報道されることもあるが?殺人は県に報告することになっているのか? A:それも個別に判断

Q:広報するけど伝達しない。伝達するけど広報するという判断はあり得るんですよね?A:そうだ。全件広報とするものではない。個別に判断する

Q:21年以降に二件の性犯罪が伝えられていなかったと報じられているがこれはそれより前は資料がなかったということか。A:広報上の資料は保存期間を過ぎて残っていない。

Q.県にも伝えていないのか A:はい

Q:逆に言うと21年以降の性犯罪はあってもこの2件は言えないと?A:統計を引けば数字は出る。2件については広報も伝達もない 統計上の数字は県に伝えている。担当者レベルで個別案件で県に話したかというと、資料もないし口頭での情報共有は未把握である。

Q:米軍の犯罪があっても逐一南関東防衛局にはすべて伝えるわけではないのか。A:はい、ルートが確約されているものではない。防衛局から補償のことなど問い合わせがくることはある。我々は米軍に伝える。米軍人を警察庁に送致したり逮捕通告したら司令官に伝える。それは必ずすることになっている。外務省に伝えるというルートになっている。

Q:県から重大事件は知らせてくれという要望はないのか A:ない。

Q:発生件数だけか? A:はい。要望された文書はないが口頭で言われている、5年間の数字を伝える。

Q:その2件が知らされていないことが明らかになったのは記者から聞かれたからか?今もって情報発信はしていないのか A:新聞社から聞かれた。捜査上に影響がなく、基本的に事実は事実なので件数は伝えた。被害者が特定される恐れがあるので詳細まではお答えしていない。

Q:今回の沖縄の事件は県議選を前に国からストップがかかったのではないかという見方もある。広報のしかたについて、国から介入があることはあるのか。A:南関東防衛局に対しては、県警から犯罪通報や逮捕通告を行う。米軍の司令官へは日米合同委員会の合意事項や地位協定、刑事特別法※に則って警察署長から、あなたの兵隊を捕まえたよと逮捕通告を行う。警察庁に送致したということを米軍に知らせる。南関東防衛局から連絡があることはあるが、知らせないでと言われたことはない。※米軍に関する法律。(地位協定に定まっていない詳細な決め。日本にはない法律。脱走米軍人 軍法違反の手続き 米軍の制服など模造したらどうする 最寄りの憲兵隊に通報して迎えに来させることなど)

Q;それは課長の在任中はということですね A:そうです。

Q:米兵犯罪を公表するかどうかの最終決定はだれか?国際捜査課が判断するのか。 A:警察署によっては国際班係が設置されている。(基地があるところは。)そちらで担当している事件を国際捜査課が担当する。例えば窃盗は本来捜査3課だけれども米群犯罪であればうちが扱うことになる。殺人や強盗、性犯罪は捜査一課、少年犯罪は少年捜査課、などもあり、基本的には主管課の判断のあと、県警の広報県民課に伝える。合衆国軍隊に関わる事件は国際問題にもなるので最後は警察本部長の指揮を受ける。

Q:県に伝えるかどうかも各所轄が広報するのか。A:最終的には署長の判断で広報することを決めたら主管課を経由して県警の広報県民課の広報のあり方のチェックをうけて広報することもあるということですか?最後に警察本部長に知らせる

Q:本部長指揮事件であれば事前に本部長が広報についても検討する

Q:近年、性犯罪以外の米軍犯罪は?A:21年に4件、22年に3件、23年に2件、24年に2件麻薬や侵入事件、窃盗、万引き、傷害事件などがある。

Q:県警と県でこういう情報は共有した方がいいよねという話はでていないのか A:黒岩知事が国に申し入れされているので変わっていくなら国がルールを決めること

Q:もう少し大事なことは伝えてくれと県が行ったら考えられるのか? A:刑訴法に定めがあってそれを逸脱は出来ない 国の判断になる 各県で別々なことはできない

Q:刑事訴訟法をどう解釈するかは個別案件の判断についてはこの幅を刑事訴訟法に反しない限りで、考える余地があるのではないか・情報漏洩になりかねないのは起訴した段階で操作は尽くしたことになる。 47条の適用場面を外れた段階でもう少し積極的にやっていただけたらいいのになと思う A…

Q:公判の前に公にしてはいけないとなっているが公判より前でも必要であれば広報できるわけですよね 例えば逗子の海岸の暴行事件は広報されましたね A:はい。

Q:ルールに縛られきれない判断基準があるということですね A:…

Q:重大事件をすべて教えてねというリクエストが県からないのか A:件数について内訳はという質問があればお答えするような形になる。

Q:性犯罪以外のものは概ね広報する? A:それも具体的に判断する必要があるが今まで文書が残っているものは11件広報されている 令和3年 4件 、令和4年 3件、 令和5年 2件 、令和6年6月まで 2件となっている。

Q:性犯罪以外で広報していないものはない? A: 住居侵入 傷害事件 建造物侵入(小学校) 麻薬及び向精神薬の輸入事件 令和4年は 暴行事件 窃盗万引き 傷害事件 令和5年は暴行事件 傷害事件 令和6年は 建造物侵入と万引き事件 性犯罪以外に広報していないものは手元に資料がない

Q防災警察常任委員会で米軍犯罪の詳細を聞かれることはない? A:外国人犯罪という区分で質問はあった。

■つまり、米軍犯罪の地元自治体への伝達や広報は警察から直接のルートは確立されておらず国経由である。県としても犯罪件数以外の情報を求めていない。警察からの広報は個別案件ごとに検討される。あってもそれをどこまで公表するかは警察の判断に任されているという説明でした。

住民の公益上の必要性を重視し県が重大な案件を把握できるためにどう改善するか検討したいと思います。

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■さて、津久井やまゆり園事件について。その後の県議会で警察と県立施設との情報共有に問題があったのではないかという私たちの追及をお読みください。こちらです。2016年9月13日の当時の加藤なを子議員の代表質問です。津久井やまゆり園事件に関する部分と一番最後の要望にご注目ください。


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