一般質問 米軍犯罪の情報伝達
大山奈々子議員一般質問
【質問】
大山議員:次に米軍犯罪の情報提供についてです。
2023年12月の沖縄の米兵による少女暴行事件が、地元沖縄県に半年間知らされていなかったことが発覚し衝撃をもって伝えられました。私たちは、外務省防衛省に出向き、経過を確認しましたが、国の判断で伝えられなかったことが明らかになりました。その後半年間で4件の性犯罪が発覚したことを思えば、政府の姿勢が国民を危険に晒し犠牲を生んだと言わざるを得ません。少女が受けた性暴力は、死の恐怖を伴いました。勇気をふり絞って加害者を告発した少女の声を封殺した政府に激しい怒りを込めて抗議します。
神奈川県においても2021年以来2件の性犯罪が県に報告されていなかったとの報道があり、不安の声が私たちのもとにとどいています。被害者のプライバシーには当然配慮しながらも、犯罪の発生を当該自治体が把握することは重要です。そうでなければ発生地域への注意喚起や再発防止を米側や国に申し入れることもできません。沖縄県は、今回の不祥事を受け、逮捕や書類送検した時点で県警から直接県が情報を得るルートを本年7月に確立しました。9月にはこのルートにのっとってさらに1件の性暴力が報告されました。
県は従来5年間に発生した米軍関係者の事故の数は議会に報告しているとのことですが、各地の基地機能強化に伴い、その数は近年増加しています。先月は海老名でヘリコプターの不時着事故、今月は横須賀で米兵車両が衝突し、22歳のバイクに乗った若者を死亡させる事故も起こしています。県民が被害を受けた情報は着実に把握することは基地県として県民を守るために最低限果たすべき責務だと考えます。
今回の質問に当たり、本県で発生した米軍犯罪の累積数を聞いても基地対策課も把握がないとのことで米軍犯罪に対する杜撰な構えに驚きました。かつては、「かながわの米軍基地」という基地問題の全貌を把握できる冊子を作成していましたが、それもなくされました。基地あるがゆえの犯罪から県民の安全を守る対応が求められます。
そこで知事にうかがいます。
国が米軍関係者の性犯罪を報告しなかったことに関する県の見解についてうかがいます。また、すべての米軍犯罪について、現在の日米合同委員会合意に基づく国経由のルートのみで通報を受けるのではなく、沖縄県のように県警と連携を強め、把握に努めるとともに、国に対して、県や関係自治体への報告を義務付けるような新たな仕組みを作ることを求めるべきと考えますが見解をうかがいます。さらに、米軍関係の事故や事件を累積的網羅的に把握し公開することが必要だと考えますが、見解をうかがいます。以上です。
【答弁】
黒岩知事:次に米軍犯罪の情報提供についてです。米軍人による事件が起きた際の自治体への情報提供は再発防止の取り組みに不可欠であり、沖縄県で発生した米軍人の性犯罪等について国から自治体に情報提供がなかったことは重大な問題です。引き続き国に対し性犯罪を含め事件事故の関係自治体への情報提供の徹底を求めていきます。また米軍犯罪の把握に関する県警との連携や新たな仕組みづくりについてですが、 日米間では 平成9年に日本人に損害を与える可能性がある事件等に関する自治体への通報手続きが合意されています。当該日米合意により情報提供の責任を有する国・米軍から関係する自治体に対して確実に情報提供が行われるよう、引き続き制度の適切な運用を国に強く求めていきます。さらに米軍関係の事件等の把握・公開についてですが、本県では平成9年の日米合意に基づく国からの通報を受け、要請を行った事件等について過去5年分の概要を県ホームページで公開しています。今後は米軍関係の事件等について、県ホームページに掲載する機関を延長するなど、県民の皆様への情報提供の拡充を検討してまいります。答弁は以上です。
【再質問】
大山議員:ご答弁いただきました。米軍犯罪の情報提供について再質問いたします。ご答弁では日米間の合意に基づいて適切に情報が伝達されるよう求めていくということだったんですけれども、沖縄県はそれが適切に行われていなかったからこそ独自のルートを開発されました。伺いますが、犯罪が発生した地元自治体がその情報を知るメリットはどのようなものがあるでしょうか。お答えください。
【再質問答弁】
黒岩知事:再質問にお答えいたします。地元自治体として米軍犯罪に関する情報提供を受ける意義・メリットについてのお尋ねがありました。米軍人等による事件等が起きた際の自治体への情報提供は、再発防止策を講じ、基地周辺住民の方々の安全安心を確保する上で重要であると考えています。まず事件等起きた際には国からの情報提供を踏まえ自治体として必要な要請を実施することにより、国や米側が地元の意向を踏まえた再発防止策を講じることが可能となります。また国から得られた事件や再発防止策に関する情報を自治体としてマスコミ等を通じて広報することは、基地周辺住民の方々の安全安心に資するものであると考えています。このような考え方から今後とも米軍人等による事件等に関する適時適切な情報提供を国に求めてまいります。答弁は以上です。
【再々質問】
大山議員:では、再々質問をさせていただきます。地元自治体が情報を獲得することの意義が語られました。しかしそのメリットを全く活かせない事態が発生し、情報が来なかったので沖縄では再犯を許しています。沖縄では県警から直接のルートを確立し、さらに国に求めて捜査当局が公表しない性犯罪事件についても沖縄県に情報提供することまで決めました。知事要請や県議会の決議などがこういう変化を生んだと言います。国は本県はじめ他の県に関しては個別に相談するという姿勢です。知事が会長を務める渉外知事会からも通報の徹底を求めている以上、本県も沖縄県のような対応を求めるべきではないですか。お答え願います。
【再々質問答弁】
黒岩知事:それでは再々質問にお答えいたします。沖縄のように県警からのルートを設けること及び新たに国からの情報提供を求めることについてのお尋ねでありました。米軍人等による事件等が起きた際、 自治体にとって必要な情報は再発防止策等を国に要請する上で基礎となる確実な情報です。従って平成9年の日米合意により情報提供の責任を有する国・米軍から、関係する自治体に対して確実に情報提供が行われるよう引き続き制度の適切な運用を国に強く求めていきます。また7月に渉外知事会として 米軍人等による性犯罪を含む重大事件について通報の徹底を国に求めており、引き続き国に対して確実な情報提供を働きかけてまいります。答弁は以上です。
【要望】
大山議員:それでは要望を申し上げます。米軍犯罪についてです。知事答弁は、国に求め続けていてもそれでも守られなかった件があったのにさらなる徹底のルートを構築しないということですから、本県 県民の犠牲には目をつぶるという無責任な態度に見えます。沖縄と本県の違いは何でしょうか。沖縄県知事はアメリカの国防総省にまで話をしに行っているんです。政府や米軍に忖度することなく県民の命を守る立場に徹底して立っていただくことを求めます。