一般質問 夜間中学や定時制高校の就学機会確保
大山奈々子議員一般質問
大山議員:質問の第二は教育環境改善についてです。
はじめに夜間中学や定時制高校における就学機会確保です。
夜間中学は、戦後の混乱や、来日前の事情で義務教育の機会がなかった方、不登校などで形式的に卒業した方などの、学習保障の場として非常に大切な役割を果たします。相模原市と県が連係して市内に2022年に開設された相模原市立大野南中学校分校の夜間学級は、横浜・川崎に1校ずつ設置されている夜間中学が市内在住在勤を入学の条件としているのに対し、相模原市以外の市町村在住の方も入学できるような広域的な仕組みを取り入れており、ボランティアで学習支援に当たる方々から喜びの声を聞いています。現在、在籍者は開校3年目で3年生12名、2年生11名、1年生6名となっています。義務教育機会確保法によると、基本理念として、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢または国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた必要な教育を受ける機会が確保されるようにする」とされています。教育を受けていない者の意思を十分に尊重するためには、県HPや相模原市内での広報以外に、全県的に届く広報が待たれています。情報を取りに行かなくても目や耳に入る広報の仕方を検討すべきと考えます。
大野南中学の夜間学級は、連携している市町村から生徒を受け入れますが、その数は15自治体にとどまっています。県内には実質的に義務教育の機会を奪われた方々は神奈川・横浜の夜間中学を考える会の試算によると8万人に上ると見込まれています。少なくとも県域ごとに一校は設置を目指す取り組みが必要です。
広報を充実させ、連携市町村を増やすとともに、夜間中学卒業生の多くが進路先とする定時制の受入れ拡充も必要です。県内3分の1にあたる6校の募集停止を決めていますが、県教委は定時制の意義を十分示せてきたでしょうか。東京都では定時制高校そのものの広報が充実しています。
そこで教育長にうかがいます。一人でも多くの県民の義務教育の機会を保障するために、夜間中学の新規開設についての展望をうかがいます。また夜間中学の広報についてどう拡充していくかうかがいます。
さらに進路先の保障として定時制高校の広報を拡充し募集停止を見直すことが必要と考えますが見解をうかがいます。
【答弁】
花田教育長:教育関係のご質問にお答えします。教育環境改善について何点かお尋ねがありました。まず夜間中学や定時制高校における修学機会確保についてです。令和4年に相模原市が設置した夜間中学では市内の生徒だけでなく県内15市町の生徒を受け入れる広域的な仕組みを取り入れています。現在新たな夜間中学を開設する動きは見られませんので、県教育委員会ではこの夜間中学での学びの機会確保に向け、より多くの市町村に広域的な仕組みへの参加を働きかけていきます。また、夜間中学の広報については今後もホームページを始め、市町村や関係団体への案内の配布などを県と相模原市が連携して取り組んでいきます。
定時制高校の広報については引き続き全公立展やホームページでの案内に加え、定時制・通信制合同の説明会などにより取り組んでいきます。また、夜間定時制への志願者の減少を踏まえ 3期の県立高校改革の実施計画に位置付けた6校おける募集停止について見直すことは考えていません。
【要望】
大山議員:はい、ご答弁いただきました。それでは要望を申し上げます。はじめに夜間中学や定時制高校における就学機会確保についてです。夜間中学を取り扱ったドキュメンタリー映画「こんばんは」では、学び直しの場を得て自己肯定感が高まり人生を前向きに生きていく人々の姿が描かれています。本県の取り組みが人生に大きな希望をもたらす可能性を広げることになりますので期待しています。ご答弁では広報について今後は相模原市と、今後も検討していかれるということでしたけれども、インターネット環境にない方にも、積極的に情報を取りに行かなくても目に入るような、紙媒体などでの広報もお願いしたいと思います。また、高校卒業資格がないと就職が困難な社会にあって、その機会を保障する定時制高校はその意義を発信し、生徒減少に歯止めをかけることができますので、従来の広報ではなく、東京都などでは校長先生の一言が入った、この学校に行くとあたたかい教育環境が待っているなと期待させるような内容の広報物もありますので、ご検討をいただきたいと思います。それから定時制高校の募集停止方針の見直しはないということですけれども、廃校ではなく募集停止にしておられるというところが募集の再開もありえるかな、と期待しておりますので、早期に見直していただくことを要望いたします。