一般質問 多様な性の性被害を救済するために
大山奈々子議員一般質問書き起こし
次に多様な性の性被害を救済するためにです。
大手芸能事務所、旧ジャニーズ事務所の創設者が、何十年もの間、大勢の少年たちを相手に恒常的に性加害を行ってきた事件は、大きな社会問題になり、男性が性被害を告発することの難しさを浮き彫りにしました。
この種の問題を扱う文献が非常に少ない中、議会図書室で「男性の性暴力被害」という研究者ら2名の共著による書籍に出会いました。
この本によると、男性の性被害者は「女性ほど傷つかない」「女性が加害者だったらラッキーだ」と思われたらどうしよう、また、「肉体的に反応した自分はその行為を望んでいたのではないか」などの思いから相談に踏み切れないとのことです。苦しみから逃れるためにアルコールや薬物に依存したり最悪の場合は自死に至るケースもあります。私たちは性犯罪をなくすためにも性教育の改善を求めてきました。しかし、実際に被害に遭った場合に備え社会の認識を変え、相談しやすい気運醸成が必要です。
内閣府男女共同参画局が行った2023年度の調査によると無理やりに性交などをされた被害経験をもつ被害者のうち、誰かに相談した割合は女性は40.8%、さらに男性は20.0%と少ないのが現状です。相談相手の一位は友人知人ですが、全国のワンストップ支援センターや医療機関など専門機関への相談は非常に少ないのが実情です。そしてせっかく電話をしても羞恥心や自責の念等が強く支援に困難があった事例も見られます。自身の性にまつわることを異性である女性の相談員に話すことのためらいもあるようです。
各県にあるワンストップ支援センターでは例えば警察への同行、法律相談の調整や同行、泌尿器科や精神科の紹介や同行、などが行われています。近年では男性の被害にも門戸を開いています。しかし、中にはいたずら電話などもあり、真剣に相談したい相談者との区別が難しく、高度な専門性と集中力を求められる仕事でありながら相応の処遇がされていない問題があるとのことです。本県のワンストップ支援センターかならいんの相談員は会計年度任用職員30名体制で、その他統括管理する正規職員等は3名。相談員の多くは専門職の方が本業と兼務となっているとのことです。本県は全国で唯一、男性とLGBT 専用の専門相談電話を開設していることは非常に重要だと考えますが、相談数が伸び始めた今、安定した雇用形態で心配なく業務に携われる職員が増えることは、性別を問わず性暴力被害者が安心して相談できることに繋がります。
そこでくらし安全防災局長にうかがいます。
性別年齢を問わず性被害を受ける可能性があるという認識を共有し、安心して相談する場があるという周知を広げることが大切と考えますが、県としてどのように取り組むか見解をうかがいます。また安定的な相談事業に当たるためかながわ性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援センター「かならいん」に男性を含む正規職員を増員し、相談員の処遇改善に取り組むべきと考えますが見解をうかがいます。以上です。
【答弁】
三浦くらし安全防災局長:くらし安全防災局関係のご質問にお答えします。多様な性の性被害を救済するためについてお尋ねがありました。県ではかならいんを設置し、性別年齢を問わず性被害者等からの電話相談を24時間体制で受け付けるとともに、本年 7月からは電話を躊躇する方でも相談しやすい LINE 相談を開始しています。かならいんを多くの方に知っていただくため、学校や商業施設などへのリーフレット等の配架、ホームページや SNS を通じた情報発信のほか 、1人で悩む方がインターネットで検索した際に、かならいんを案内すリスティング広告など 広く周知してきました。こうした取り組みの結果、かならいんへの相談件数は増加しており、今後も効果的な方法で実施していきます。
次にかならいんの相談員については、精神保健福祉士等の資格を有して活動されている方などが、隙間時間を有効に活用し被害者のために役立ちたいとの思いから応募してきており、柔軟な働き方ができる 勤務体系となっています。また全国で唯一の男性及び LGBT 被害者のための専門相談ダイヤルを開設し、男性への相談を希望される方にも対応できる体制を有していることから、現時点で男性を含む正規職員の増員などは考えておりませんが、今後も性被害者の立場に立った、きめ細かな支援に努めてまいります。答弁は以上です。
【時間が足りず言えなかった要望💦】
次に多様な性の性被害を救済するためにです。
性被害に遭うのは女性だけではない。誰でも被害者に成りえるのだから迷わず相談してほしいというメッセージとして質問させていただきました。たとえば県の広報物などでも性被害を語るときに女性の被害と決めつけることは避けなければならないと思います。
全国でも唯一、男性やLGBTを含む相談窓口を設置し支援するかならいんは本県の誇りです。その年間相談件数は2571件に上るといいます。体制を強化し継続的安定的にいっそう懇切丁寧な相談に応じることができる環境作りを求めます。