大山奈々子
大山奈々子大山奈々子

原水爆禁止世界大会 終結 原爆資料館を詳細にみる。

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FB上に表示されるであろう写真としてこれを選ぶ。閲覧注意警告が表示されるべき画像だと思う。でも、これは事実。72年前に私たちの国土で起こった、人災。人災は直視することから防げる。

今大会は特に、人類史上初めて核兵器禁止条約を採択した喜びに満ち、だからこそ、何十年ぶりに参加することにしたという方々が多かった。若者の参加も神奈川は前回の倍以上だと言われている。参加できなかった多くの人々の思いは色とりどりの鮮やかな折鶴に託され、街中では目当ての施設に行きついた安堵感からか、観光客も国内外の大会参加者も笑ってカメラに収まる。平和のために闘おうとする大勢の仲間との連帯感で笑顔にあふれる大会となった。高揚感の中で訪れた原爆資料館は、直視すべき事実を突きつけた。

広島の資料館を訪れたとき以上に、戦争被爆国でありながら核廃絶に後ろ向きな恥ずべき政府を生み出した国民として長崎の資料館に臨んだ時、一つ一つの展示物に対峙して、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

アメリカの代表の方がスピーチの冒頭に謝罪されていたっけ。個人が謝ってどうにかなるものでもないのに、それでも謝らざるを得ない彼の気持ち。日本語教師時代、9月1日という日に関東大震災の朝鮮人虐殺を韓国人学生たちに詫びた自分と重なった。個人の思い一つでどうにかなるものでもないから、どうにかしたいとあの代表の方も私も行動している。大会参加の多くの方の思いはそこだと思う。

さて、核抑止力論をいう人たちにこの写真を見てほしい。爆心地から半径1キロはほぼ一瞬にして燃え去った人人人、大やけどを負った人人人、即死の人であふれたという、半径2キロも3キロでもガラス瓶を溶解し、鉄塔を捻じ曲げ、瓦を泡立たせるような悪魔の兵器は生き残った人々にも地獄の苦しみを与えた。差別、偏見、次世代への影響の不安…。

誰が人の命を奪っていいという権利を与えらえているのか。

ヒバクシャの方はヒバクシャとして生きる道を選んだわけではない。多くの人々の人生を勝手に変えていい権利は誰にもない。

三日目に語られた海外代表の言葉の数々をまとめるとこんな感じになる。偶発的であっても意図的であっても決して使用してはならず、すなわち存在してはならない兵器が核兵器。生物兵器や化学兵器が国際的に悪の烙印を押されて、悪であるというコンセンサスができたように、多くの国民市民の力で自国の政府を動かし、50か国の批准で発効すると言われている核兵器禁止条約の発効を目指して、すべての核保有国の批准を目指して、大きく世論をもりあげていかなければならない。ノーモアヒロシマ!ノーモアナガサキ!ノーモアヒバクシャ!ノーモアウォー!

 

この、母子が丸焦げにならなければならなかった浦上駅は、さっき電鉄でとおったあの駅なのだとイメージしました。

倒壊した家のハリの下敷きになった二歳の娘を救うために、大の男が何人もあきらめたその現場で、駆け付けた母親が、自身も皮膚が剥がれ落ちる重傷を負いながら、仁王立ちになってあたりを見回し、ほんの小さな隙間から肩を差し入れ、ウオオッと持ち上げて娘の足を抜いて、へなへなと倒れたそうです。その夜、皮膚も破れ、肉が裂け骨まで達していたことが分かったそうです。10日後に亡くなったそうです。このお話の展示の前で涙を禁じえませんでした。

熱い鍋に少し触っただけで、指先をやけどしただけであんなに痛いのに…。

この親子にこんな運命を与えたのは誰なのか。

資料館では長崎大学病院にいた多くの医師が、徴用されていたり、よそへ出張していて、8月9日にはわずか30名しか医師がいない状態であったこと、自ら被爆しながら不眠不休で治療に当たったことなどがかかれていました。

そして、三日目には医療従事者からのスピーチもあり、二度と、医療従事者が徴用される事態があってはならない、命を守る使命があるからこそ、核兵器廃絶に力を尽くしたいと述べられました。

また、長崎資料館で学んだことの一つに、アメリカ国内でも、事前告知なしの実験のような原爆投下に反対する60人を超える科学者たちの声明が出されていたこと。すでに死に体の日本に原爆などつかわなくても戦争を終結させることはできると、今やアメリカ国内で原爆投下の言い訳として語られることを牽制する言説がささやかれていたこと。

それなのに悪魔の兵器が落とされた。

後戻りできなくなる前に、戦争のかすかなにおいがするだけの段階で一人一人が自覚的にうごかなけばならないことのあかしだと思います。

2010年のNPT要請団として一緒にNYに行ったあさか由香さんが、自分が学んだ大学で学生たちを前に被爆の実相を知らせ、戦争終結論の力のなさを証明してみせたことがありました。こういう地道な活動が実を結び、長崎のホテルでみたTVの街頭インタビューで、アメリカ人の若者たちが自国の政府の言い訳を信じなくなっている様子が流されていました。どこの国においても、戦争の加害と被害の実相を正しく学ぶことが必要です。

 

 

 

 


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