神奈川県商工交流会で地域振興を考える。
「仲間とともに好きな商売続けたい!伸ばしたい」これをテーマに開かれました。午前午後みっちり中小企業振興のありかたを考えました。
「私たち業者が元気をつくる地域経済」という京都大学大学院経済学研究科教授岡田知弘先生の基調報告
災害とグローバリズムの時代、誰が地域をつくり支えていくのか。このお話の中では企業誘致施策が利潤を生んでも東京の本社に一極集中し、うまみがなくなると撤退するという県内でも見られる課題が語られました。被災地の大型スーパーが被災直後倉庫のシャッターを閉ざし、株主の利益を守るために地域から撤退した姿と、小さな商店が町の人を助けるために奉仕した対比も鮮やかです。
地域発展の決定的要素が地域内再投資力の量的質的形成だと。地域にある企業商店農家共同組合NPO地方自治体が毎年地域に再投資を繰り返すことで仕事と所得が生まれ生活が維持拡大されると。
本県の企業誘致策を批判する質問をした際、誘致策と言いながら県内再投資が約7割に上る実態を知りました。誘致策とすら言えない。県内の大企業の再生産には税金を投入し、数年たっていまだに初期投資分の税収すら回収できていない、そのために県民の文化や福祉を削って大企業に奉仕した神奈川の産業政策の問題を改めて考えさせられました。
千葉市帯広市墨田区丸亀市横浜市などの先進事例も紹介されたので今後も研究したいと思います。木佐木議員が関心を持って取り上げていた「まちゼミ」も商店街活性のためには想像以上の効果を産んでいますし、地域の中で自然発生的にそれ的な動きも見えます。
また、TPP12や日欧EPAが自治体を食い物にするような中身が紹介され、自治体として防衛する動きも真剣に検討すべきだと考えました。
ヒントや課題がたくさん詰まった講演でした。
午後は「小企業の活躍をうながす自治体施策」という分化会に参加。
川崎市の元経済労働局長さんが率先して町場の工場にでかけていって顔の見える関係を構築し、施策に生かしてこられた経験を豊かに語ってくださいました。
川崎市では人事異動の際に、一定年数は同じ局の中で移動してスペシャリストを育てるという仕組みがあるようですが、神奈川県の場合、幹部になっても突然全く畑違いの部局に異動するのでこの伊藤さんのように腰を据えて住民と向き合う関係が構築しにくい側面があるなと思いました。この点は大きな問題です。
これに対しては伊藤さんは中小企業が職員を育て上げ、この部署にいてくれと守ってあげることも必要。言葉がわかる奴に育てるんだという気構えが必要という話をされました。伊藤さんもまた、怒られながら育てられたといいます。神奈川県に求めることは、職業訓練校でしっかり技術指導や技術支援、育成に取り組んでほしいということだそうです。神奈川県はかつては中小企業支援の輝く星でしたが、今は…あまり余計なことをされると重しになるというニュアンスのことも話されました。
この言葉に多少傷つきましたが(笑)それは今の神奈川県の中小企業支援が衰退していることの証で、輝く星に戻れる可能性はあると信じています。
岡田先生も助言をくださり、道州制がほかならぬ戦争する国づくりに直結する施策であり地域から産業が消えていくことになるという話から、県の特性として、広域性、専門性、補完性をもつというそのことによる可能性を語ってくださいました。
まあ、本当にやれることはたくさんあるぞと希望が持てる会でした。
民商のみなさんの地域の事業所へのアンケート調査結果もいただいて帰りました。しっかり活用したいと思います。