政務活動費返還請求訴訟 公判を傍聴
政務活動費調査をされているみなさんが原告となり、自民党のⅯ議員分として自民党県議団に交付されていた政務活動費のうち、不当に政務活動費を受け取っていた(社会通念に合わない異常に高額のタクシー券など)分について、県知事を相手に、自民党県議団から政務活動費を返してもらうべきという趣旨の不当利得返還履行請求という訴えを起こしておられました。その公判があったので、17日、横浜地裁に傍聴に行きました。
この訴訟に先立つこと1年。2018年中に争われていた中村省司議員(当時自民党県議団所属)の政務活動費返還請求訴訟は、議会報告をつくったと言って約500万円を政務活動費として受領していた氏が、実は議会報告を作成も配布もしていなかったという情報があり、鎌倉の男性が、調査して、印刷所の領収証が偽造であったことだわかったという県民に対する背任行為でしたが、その違法性を一審二審では確定されましたが、鎌倉の男性が最高裁で自民党県議団に返すように求めていた裁判がなんと原告敗訴となりました。その経緯はこちら東京新聞のリンクを張ります。
政務活動費が個人ではなく会派に交付されるため、こういう抜け道を可能にします。中村議員はこの問題発覚後、自民党県議団から抜けて一人会派となり、今回の選挙には不出馬でした。
そして、私が傍聴した訴訟は、この中村議員のケースと似ていますが、政務活動費の不正支出分を県は議員の所属する会派から返還を求めるようにという趣旨のものですが、
あっという間に判決が言い渡され、原告の請求棄却となりました。
リンク部分にあるように、中村省司議員の場合一審二審で政務活動費の支出に違法性が認められても、最高裁では、県に返さなくていいとされたのです。簡単にいうと、自民党県議団の収支報告上の支出の総額から、不当に受け取った額を差し引いても実際の交付額を下回らない場合、返金の義務を負わないとされるのです。
個人ではなく会派に支給されることがある意味隠れ蓑になったわけです。
常識で考えるとおかしいのですが、重要なのは判決文の最後。
「本件において県が、指針等や使途基準に照らして、不適正な支出があったことを問題としている形跡はうかがわれず、また、不適正な支出があったことをうかがわせる証拠も見当たらないから」原告の主張を採用することができない、という描写。
結局は政務活動費に関する県の指針が甘いという事に他なりません。1日に8万円使おうとも、上限規定がないのですから、県側は指針を根拠に不適正だとは会派に対して言えないのです。この意味では、昨年12月に自民党公明党が議長に対して政務活動費の指針の見直しを要望したことは重要です。政務活動調査に当たる県民のみなさんが、政務活動費の使途の透明性を求めて、領収書に個人名をかくことや、領収書のインターネット公開などたびたび、議会への請願を提出されたことが大きな力を持ちました。
議会はやはり住民の目で監視していくことが必要です。富山県で5万円の不正受給で議員が辞職していることと比べてなんと自浄力が無い、と思わざるを得ません。