秦野養護学校 末広校舎 視察
障がい児教育に携わる方々と懇談した際、「末広校舎」を見てほしいといわれました。秦野市立末広小学校の空き教室を借りて県が秦野養護学校からあるいて30分かかるところに、県立高校と分教室のような関係の「末広校舎」を設置したのでした。
知的障がい児の増加にともない、秦野地域にも特別支援学校が求められていたのを、こういう形で実現したものではあります。2017年4月に知的障がいの小中学部として誕生しました。
県立高校の中の分教室とは違って、ここは校舎もきれいで学校名のプレートもあって、ビジュアルは大丈夫。でも機能の面でやはり大きな問題がありました。
ここでも職員室は保健室と併設。何かあった時駆けつけやすいからという教育長の苦しい答弁を思い出します。
給食は小学校の給食室から分けてもらってワゴンで普通教室まで運び、給食介助員さんがハサミで切り分けます。固かったりするからと何度も丁寧に切っておられました。がしかしこれは本来給食室で調理すべきです。
音楽室や美術室、図工室はなく、普通教室で行うそうです。
何より体育館、グラウンドなど「ニーズがあれば使える」ということ。かつて分教室の子たちが、併設されている高校のカリキュラムが「空いていれば使わせていただける」と先生たちが応えておられたのを思い出します。障がいのない子の空き時間だけ使えるってそんな状況を子どもたちがみて成長する…来年からカリキュラム編成に工夫とするということでしたが…
ここでもまた、現場の先生や管理職のみなさんが、懸命に与えられた環境の中で工夫を凝らし、安全に楽しく子どもたちの知的好奇心を伸ばしてくださっている様子も痛いほどわかりました。私たちはそんな先生たちの思いを応援したい。
畑野君枝衆議院議員も見てくれました。子どもたちの菜園があるところ。
しかしやはり差別的な状態に置かれているのは確かです。分教室のように本校の定員の二倍ということはなく数的にはゆとりがありましたが、地域でインクルーシブを実践すると言うなら、カリキュラム編成から差別されることなく、小学校と対等に組むようでなければなりません。
そもそも県は、特別支援学校の設置義務者です。「秦野市のご厚意で」と道を整地してもらったりしていますが、障がい児たちのために出すべき予算を市におんぶにだっこでいいのかという思いも持ちました。
子どもはどんな環境でも伸びようとします。そこが子どもの偉大さです。ここでもたくさんの障がい児が生き生き活動していました。本当に障がい児にとって最善の利益を享受できる教育環境を整えたい。
これは確か小学校の方にあった投書箱。嬉しくなりますね。
秦野養護は、本校である落合校舎と、神奈川リハビリテーションセンターの中の院内学級と、施設訪問の弘済学園、とここ末広校舎。毎巡回して現場を見て歩いておられる校長先生たちも大変です。
詰め込みの特別支援学校を解消するためにも必要な場所に十分な施設を備えた特別支援学校を整備した上て、インクルーシブ教育を経費節減ではない形で充実させていく。神奈川の障がい児教育はもっともっとお金をかけなければなりません。