環境農政常任委員会
やっと回ってきた質問は3月5日。
石炭火力発電所に関する代表質問への答弁を受けて指摘しなければならないことや、エネルギー政策のことなど、重要な課題がある委員会ですが限られた質問時間の中で厳選しました。
●気候変動対策●
Q知事が気候非常事態宣言を行ったこともあり注目の課題。COP25において化石賞を二回も受賞したことについて見解を問うと、知事はNGOによる主観的な評価だから県としてコメントできないと答弁したが、NGOの意義をどうとらえているのか。(NPT に行ったとき、国連でも市民の力を強調されていたので、NGO軽視のような答弁は許せませんでした。)
A委員会では、NGOが問題ではなく主観的な評価だからという答弁だったので、潘基文元国連事務総長の言葉を紹介しました。「集団的な地球益のため、政府、市民社会、民間セクターがともに活動するというあらたな国際協力が必要とされている」
意見:NGO軽視でないならいいが、評価についても梶山経済産業大臣が記者会見で「石炭火力発電など化石燃焼の発電所は選択肢として残していきたい」と発言したことに対して市民社会が反応したものであって、客観的事象に対する評価であり、主観的という言い方自体が印象操作的だと指摘せざるを得ない。
他、この課題では2050年温室効果ガス削減目標が80%といってもその基準年が何年か不明で、国にきいてもわからないということを受け、基準年も分からない数字を提示するのは本気度がうかがえない。知事の実質ゼロ宣言とも齟齬をきたしている。計画を見直すべき等。
●ソーラーシェアリングについて●
Q農地の上方に太陽光パネルを設置し、発電する。気候変動対策としても、環境政策の意味でも有効性が高いと思われるソーラーシェアリングの普及について進捗と課題。
A2020年までに県内100件の目標があるが、現在43件。固定価格買い取り制度(FIT)の価格が下がっていることから、初期投資の回収に対する不安がある、県の財政的支援制度はない。JAの低利融資はある。
意見:農業者や農業団体に関心を持ってもらう取り組み、固定価格買い取り制度によらない自家消費、地域消費型の実践をしている事例の共有などが必要。研修会など年に一回では少ない。(主管課である)産業労働局のエネルギー課と連携して知る機会を増やすべき。
●再生可能エネルギーについて●
Q県のスマートエネルギー計画の検討会議では「水素ばかりで地産地消があまりついていない」という指摘がある。確かに予算は水素や太陽光重視。その他の再生可能エネルギーの予算は?国が提示している地産地消エネルギーのポテンシャルは?地球温暖化対策計画に盛り込まれているその他のエネルギーに対する研究は進んでいるのか
Aポテンシャルに関しては地熱や風力はある(ポテンシャルがないものを答弁されたので、経産省の資料をもとに、あるものを再度答えてもらった)バイオマスなど、研究もわずかながら取り組んでいる
意見:主管課がエネルギー課だとは承知しているが、気候非常事態宣言が出された以上、環境農政局も積極的に再生可能エネルギー政策を進めるべきだ。長野県の一村一自然エネルギー運動のように、土や木のにおいのするエネルギーの可能性を環境や農政に資する観点で取り組みを強めてほしい。
(この質疑のあと、水素と太陽光以外の再生可能エネルギー予算がゼロであることが判明)
●地下水採取に関して●
Q県が地下水採取のための井戸の深さをどのように検査しているのか県民から疑問が呈された。川崎や横浜では必ず立ち会って深さを規定(県と横浜は100メートル、川崎は300メートル)以深であることを確認している。なぜ立ち会わないのか
A一本目は内径が規定以下だから許可対象外、で立ち会いの対象ではない
結論:これに関しては県の出先機関が内規通りの検査をやっていなかったことを指摘し、改善を求めた。地盤沈下などを防ぐために県のルールがある。形骸化させてはいけない。
●大規模外洋養殖推進事業●
東日本大震災後に水産業復興特区の創設が提案され、大手企業の参入が想定され、地元漁業者の猛烈な反発があった。それを想起させる事業名でもあり、しかし県漁連にうかがったところ期待される面もあり、悩ましい課題ではあった。
Q発意はどこか?撒き餌の大量投入による富栄養化の懸念は?国の補助金は?(怪しいにおいのする事業だとここが疑わしいことが多い)漁業権の整理は?魚種の想定は?地球温暖化の影響は?不安材料は?地元漁業者の排除にならないか
A魚の養殖は現在ほとんど行われていない。条件がなかった。沖合深さ300メートルのところで、外洋なので赤潮の発生する懸念はない。サバやサーモンなどノルウエーのような大規模養殖をやる。加工や流通まで一連のサプライチェーンを敷く。今までは定置網にひっかかっても買いたたかれていた小さいサバを買い取って養殖し、巻き網でとれる片口イワシの稚魚などを餌に。大手企業に興味を示してもらう必要がある、県漁連や地元漁協の方々に検討会に入っていただいてむしろ地元の仕事起こしにつながる
神奈川の漁業の構造改革のようなプロジェクト。産官学金融が連携する。日本では初めて。
意見:危うい感じもあるが、可能性を秘めているようでもあり、地元漁業者の意見を聞く仕組みを強調して質問を終えたが、これは注視していかなくてはと思っている。