県立高校改革実施計画(一期)が発表になり…
12月14日の文教常任委員会で県立高校改革の実施計画(←ここをクリックすると県立高校改革の全貌が見えます。)の1期分が配布されました。基本計画は27年1月に策定されました。201₆年から4年間ずつ1期2期3期と数えます。(検討のための協議会が設けられて計画が練られている間、共産党議席はありませんでした…)
どこの高校が無くなるのか。この問題は議員間でも大きな関心で受け止められています。この日の発表がとても待たれていました。詳しくはリンク先、実施計画1期の中に書かれています。卒業生が母校が統合されることをどんな思いで受け止めるかと思うと胸が痛みます。磯子と氷取沢、大楠と横須賀明光、平塚農業高校初声分校と三浦臨海、平塚商業と平塚農業、平塚商業(定)と高浜、相模原青陵と弥栄。以上がそれぞれ後者の施設と敷地に統合される予定が発表されています。
私たちは、今回の高校改革の見直しを求めています。代表質問で君嶋議員の質問にも取り上げました。質問と答弁はこちら→20151203 君嶋議員代表質問と答弁
高校を25校廃校にしてきたこの間の高校改革が全日制進学率を下げてついに全国46位という事態になったという認識をもっています。子どもの数もいつまでも減り続けるわけではありません。何のために少子化対策を国も県も取り組んでいるのか。10年20年の短いスパンではなく未来を展望し、どの子にも学びを保障する教育行政であるべきと思います。
文教常任委員会の冒頭、定時制高校の先生からゆきとどいた教育、少人数学級を求める口頭陳情が行われました。これは後述します。
さて、県立高校改革についてはすべての会派がこの問題を取り上げました。一部ご紹介すると…。
◆は質問◇は答弁
◆なぜこの時期に発表なのか。12月というと受験生はもう志望校を決めている。自分の決めた学校がなくなるというのはどうか。もっと早く決めるべきだ。今後は早めに。
◆進学率は向上できるのか。私学と連携して取り組むように。
※全国一低い私学助成の金額を引き上げることが求められますが、私学を所管するのは県民企業常任委員会。文教常任の場では所管が違うとかわされますが、進学率の向上をいう以上は公私の連携の詳細を確認していかねばと思います。
◆統合されて募集がなくなると下級生がいなくなり活気がなくなるのではないかどうするのか。
◇統合される学校は2018年の募集はしない。他校と交流する取り組みを増やす)
※他校との交流は現実的にはカリキュラムの問題でなかなかむずかしいし、生徒や先生には負担が増えることだと思います。
・通学距離が遠くなる子への配慮は。
◇川崎と横浜北部は統合がない。現状でも通学時間は1時間以内が82%である
※これはしかし2割は1時間を越えているということだなと聞きました。
◆学校規模が大きくなるのか。
◇どう考えても1学年10クラス以上は無理だ。
※このことは私が早くから問題視していました。適正規模は考えないとまでいう見解を当局から聞いていました。ずいぶん乱暴な計画だと問題に思い、実際に委員会の場で質問しても10から12学級という可能性も語られ、心配していました。大規模になっても10までで収まるのはまだ助かったという思いです。が、やはり全国的に6から8が適正とされている中で、全国一大規模校が多い上にさらに詰め込んでという改革は問題です。
例えば運動会で1種目しか出られなくなる、入学式が一度に行えない、そんな事態を想定してみてください。
他会派の委員は基本的にはこの改革に賛成の立場です。そのうえで是正点を求めているという形です。
私がこの委員会のやり取りの中で知って驚いたのは、「教育課程研究開発校」や、「授業力向上推進重点校」、「ICT利活用授業研究推進校」など、いわゆる“多彩な”十種類もの学校があるのに、これを決めるのがすべて教育委員会だということ。「逆さま歴史教育にかかる研究校」なんて、知事の選挙公約に端を発する、従来の授業と手法を変えざるを得ないことまでも現場を無視して上意下達になっているということ。(別に学校現場にくらべて教委が上とは思いませんが、便宜的に。)教育に政治が介入するこのやり方は、戦後、教育の場で戦場に子どもを送った反省から、政治からの独立を目指して設置された教育委員会の存在意義をゆるがすものです。安倍教育再生がまさに教育委員会の権限を首長側に移すものなので神奈川もそれに従ったというところでしょうが、教育委員会としての矜持をもってことに当たっていただきたいとろです。
ただ、一種類、学力向上進学重点校だけは学校を募ったそうです。いわゆる難関校に現役学が多いこと、英検2級を7割以上の子がもっていること等予備校のような条件が求められます。
私の知っている子がここに手を上げた高校に通っていますが、授業中に机に伏して手を上げろと言われ、英検を持っているかどうかと聞かれたそうです。立候補できるかどうか確認したのでしょうか。例えば英語が好きで英語の本を読んだり、英語の映画を楽しんでいる子が、それではなくて、英検を受ける勉強をさせられる。こういう図が目に見えます。
子どもたちが、何かの類型に当てはめるような学校を望んではいなことはこちらの数字があきらかです。37ページの不思議なグラフにご注目ください。一見8割の子が特色ある内容を望んでいるように見えます。国の求める方向性にあわせるために実際の子どものニーズをこういうふうに表現してまで…苦しいところですね。苦しまなくてもスチューデントファーストの掛け声のとおり、子どもの声にまっすぐ応えて行きましょう。
県立高校改革のことは書き出すと止まりませんが、県が行ったパブコメをこちらにご紹介します。多くの人々が心配していることが明らかです。