大山奈々子
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道徳教育と中小企業シンポジウムと学童と自治体問題

ブログコメント6

勉強続きの週末であった。睡眠不足は記憶の定着が悪くなるという。基本的に睡眠時間が不足しているわが生活習慣を改めてこの週末学んだことを定着させねばと思う次第。

道徳教育は横浜教科書採択連絡会が主催:法政大学の教育学者の佐貫先生と出版労連教科書対策部の方のお話。

社会的に達成されてきた正義、いわば社会の道徳性(人権・人間の尊厳・友愛・共同・平和・自治・生存権・表現の自由・労働の権利etc.)を無視して、自己責任としての道徳性に一元化する性格をもつこと。科学不在の教科だという根本問題。検定意見の根拠となる学問が無いということ。

それに加え、道徳教科書検定の日程を短縮すること、価格設定の低さで経済的制約を加え、参入する会社をへらす、など、出版会社が検定不合格を恐れて一層委縮・後退・画一化させる枠組みが用意されているという面が明らかに説明され、その周到さに唖然としました。 

つまりは社会を読み解く科学を遠ざけ、例えばブラック企業に就職してもそれは自分が能力がないからだと思わせてしまうような、自己責任論の刷り込みにもなる…企業戦士と文字通りの戦士、二つの従順な戦士を作る教科なのだという分析は腑に落ちました。

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中小企業シンポ。資料を控室においてきましたが、主催は異業種…?公設試(公設試験場)の研究家の植田先生と、中小企業経営者のみなさん、県の産業労働局の産業振興?課の課長も参加されていました。

植田先生は「公設試の研究では5本の指に入る」と紹介されたけれども、この分野の研究者は非常に少ないので誰でも5本の指に入るんです(笑)とおっしゃりながらのお話でしたが、アメリカのクリントン大統領が日本の公設試をモデルにアメリカにも公設試を取り入れたという話は驚きでした。kosetsushiというのだそうです。

神奈川では今、産業技術センターが独立行政法人化され、神奈川科学技術アカデミーKASTとの統合が予定されています。どちらの施設も視察させていただきました(既出)が、党県議団として私たちは独法化にも統合にも反対です。中小企業支援が薄くなると考えるからです。

案の定、新組織の定款案からは『中小企業支援』の文言が抜け落ちているそうです。産技センターの理念にも、KASTの定款にも盛り込まれているのにも関わらず。君嶋県議によると、産業労働委員会の中ではそのことを追及されて、「中小企業支援も念頭においてまいります」という趣旨の回答があったそうですが、そんな方便は通用しません。真剣に中小企業支援をする気ならば、盛り込むべきです。

松沢知事以来、県の商工費は中小企業支援から大企業支援へとシフトしています。その流れでの統合、独法化のデメリットを視察時に当局に聞いても答えてもらえませんでした。いかなる施策にもメリットデメリットはあります。それを想定しない(建前?)での統合は極めて危ういといえるでしょう。今回、先生に私はデメリットを質問しましたが、やはりお金の問題だと。

行政がついても法人で有る以上、儲けをあげる必要があり、そうなると儲からない研究はやらなくなる、または価格を引き上げる、という危険性がありはしないでしょうか。

私は県の事業所の99%を占める中小企業支援を念頭においてきたつもりですが、工場や商店の皆さんに個々に話をうかがうことがあっても、対県交渉の場を除けば、一つの部屋いっぱいに中小業者の方がいらっしゃる場面そのものが初めてで、貴重な体験をさせていだきました。

産技センターは中小企業の技術相談、人材育成の講座、新しい技術の研究・実験など公の施設として民間と比べ物にならない費用(三浦から通ったというある業者さんは、交通費の方が高かったと。)で支えられたと。

参加されていた方々は、どれほど産技センターに助けられたか、どれほど多くの技術者を育ててもらったか、あの時研修を受けた者はわが社の中核を担っています、等口々に感謝の言葉を述べておられました。聞いていて熱いものが胸に迫りました。神奈川はこの分野でもすごく県民を支えてきた歴史がある。

女性センターも、美術館も、図書館も、リハセンターも、ライトセンターも、そうだった。それなのに、すべからく県の手から放して縮小化が図られている。輝ける神奈川の歴史を損なってはならないと改めて思いました。

学童と自治体問題を書いていたら、また睡眠不足になるのでここまでとします。


コメント

  1. 小泉譲より

    神奈川県の行政には、そんな輝かしい歴史があるのですね。それを無にしようとする県政には反対です。県民の利益に立った施策を今後も望みたいです。新自由主義的な施策からは、ことに中小企業向けのよい対策が望みにくくなるというお話はよく分かります。

  2. 鈴木やすより

    3月4日(金)の講演会。私も参加したかったのですが風邪のため欠席しました。
    確かに「企業戦士」と「文字通りの戦士」の排出をたくらむ安倍政権。社会に疑問を呈さない従順な「労働者」は排出するために「道徳教育」や「教科書」をツールとして教育体制の改悪を目論んでいますね。私は変な言い方ですが「ブラック企業」や「ブラックバイト」の被害者の多い現状こそが既に安倍政権に毒されつつあると感じます。
    そして今、密かに改悪(参議院選挙後と噂されています)されようとされている「労働法改悪」(いわゆる「残業代ゼロ法案」)も危険極まりません。この法案の「残業代ゼロ」の対象者は年収1075万円以上の「高度の専門的知識を必要とする業務」に従事する労働者(これでも意味不明ですが)とか言って多くの労働者には関係しないと巧みなメディア・コントロールで多くの国民を欺きむきつつ、実は昨今の曖昧な法案の解釈では新たな裁量労働制(長時間残業しても仮に1日8時間労働したとみなせば時間外労働の支給を除外する)の対象として「法人型営業」と「事業の運営に関する事項の実施管理評価業務」(これも意味不明:しかしこのような解釈出来ない概念が危険)が挙げられており危険です。前者は一般的な「営業マン」が、後者ではいわゆる「管理職」(主任以上?)が想定されており、この悪法が施行されれば多くの労働者の長時間労働が「みなし労働」とされて残業代が支払われずかつメンタルヘルス(心の病)に罹患し「過労死」の増大が必至です。真の意味で労働者の「生命(いのち)」が危険です。私は「企業戦士」化して労働者を長時間労働の犠牲者とし政治含めての社会参画への道を閉ざすのが目的(政治:社会への興味を抹殺)とまで感じます。
    そしてこれまた参議院議員選挙後に強行しようとしている社会保障の連続大改悪含めてより一層「貧困」と「格差」が拡大され「マイナンバー」をツールとして「経済的徴兵制」を実施し特に若者を「文字通りの戦士」化していくのが安倍政権の裏プログラムではないかと考えます。特に昨今は「明文改憲」までをも平然と口にしております。
    まだ間に合います。多分これからが大きなうねりになる時期だと考えます。そしてこの流れを止めることが次の参議院議員選挙含めて私たちの大きな課題だと考えます。

  3. 大山奈々子より

    小泉さん

    例えば、障がい者施策も他県より優れていると聞いたことがあります。ご子がどうなのかはわかりませんが、障がい者団体の方がおっしゃっていました。長洲知事の時代でしょうか。

  4. 大山奈々子より

    鈴木さん

    労働法改悪もいわゆる小さく生んで大きく育てる悪法ですね。
    そのうねりをとめねばですよね。

  5. 鈴木やすより

    障がい者施策と聞いて思い出しました。「障害者差別解消法」(不当な障害者への差別禁止と合理的配慮を義務付け:国や地方自治体や行政機関は法的義務、民間は努力義務)が今年(2016年)4月施行されますが政府(内閣府)が全国の市区町村等に設置を勧めている「障害者差別解消支援地域協議会」(この協議会の設置自体は確かに努力義務ではあるようだ:いわゆる「障害者」の窓口)の準備が2月中旬頃の報道でしたが全国で約1%だといいます。多分神奈川県下も同様な状況かと推察します。
    この法律は2013年6月に施行しましたが周知期間が必要として3年後の2016年(今年)4月施行ですがかかる状況に対し私は法を主管する内閣府の責任は勿論ながら「障害者」の差別を本気で解消しようとしない地方自治体の本音を垣間見た思いがします。
    神奈川県は障害者雇用といいワーストに近いのが現実です。たまには本気で取り組むべきと猛省を促します。

    • 大山奈々子より

      障がい者雇用の問題は先日、2会派が本会議で追及していました。法定雇用率が全国45位だということで、知事答弁は法定雇用率4%を越える企業に優先的に発注するしくみをつくるという答弁がありました。差別解消法の具体化の協議会設置に対する働きかけがどうなっているか聞いてみたいと思います。

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