県立秦野精華園視察
秦野精華園を訪ねました。中軽度の知的障がい者更生施設です。約100名の方が利用されています。
1961年に設立、県立直営施設だったものが1990年には社会福祉法人かながわ共同会が受託。2006年には指定管理者になり、さらに今度はその共同会に民間移譲されるという予定です。
入所と通所併設の施設です。詳しくはこちら
自立の門と記された入口の大きなアーチがこの施設に託された精神を物語ります。
生活訓練では、自立した日常生活や社会生活を過ごせるように、他者との人間関係の構築やグループ活動を通じて協調性の育成等を目的とし、入所利用者は外注作業を中心に、通所利用者においては園芸作業を中心としたプログラムが実施されています。
就労移行支援では、実習や就労に向けて、挨拶・相談・報告・身だしなみ等の基本的社会スキルの習得や適性に応じた職場開拓を行い、職場への定着を目的とした支援を進めています。入所利用者は施設、外部からの委託による清掃作業を中心に、通所利用者はクリーニング作業を中心に実施しています。
就労継続支援A型では、雇用契約を結び、一般就労に必要な知識・能力の習得を目的に製パン作業、軽食喫茶における接客・調理補助等の作業を中心に実施されています。
就労継続支援B型は一般企業等の雇用に結びつかない方や一定の年齢に達している方に、就労の機会を通じて生産活動に関わる知識の修得や能力の向上・維持が図れるようにクリーニング作業を中心に支援をしています。
色々な支援の形で就労につながる方々もいらっしゃいます。卒業した方たちからの感謝場もありました。
広い敷地に、体育館やグラウンドがありました。地域の方も利用されるということです。ステキな喫茶店も道路に向かってコーヒーが飲めることを示すノボリがあり、一般にも利用できます。私たちもお茶やお菓子をいただきました。こういう施設の存在が共生社会の一翼を担って来られたのだなという感じがありました。
よく耕された畑や花いっぱいの温室…。広い敷地に当時の県の初めての障がい者更生施設としての願いを感じました。が、県は年間2億円措置していた指定管理料を引き上げて、財政的には経過措置はあるものの、民間移譲にしてしまうということです。引き続きかながわ共同会が担われるとのこと。あの広いグランドを潰してもう一棟建てて小規模施設を複数にするとのこと。利用料は?利用者数は?雇用条件は?人的配置は?心配がたくさんあります。
また私は管理者に質問しました。議員なら知っているべきことかもしれませんが、あえて県の担当課の前で聞いてみました。「県が手放すということになりますが、こんな方針はどちらの発意ですか?」
「…県です…」
たった2億です。企業支援に1企業当たり5億から10億を100社に計上という予算も組まれている中で、こんなに重要な福祉施設を手放すのか。また私たちの議席が無い時2013年に議会はそれを許したのかと。悔しい思いでいっぱいでした。検討経過はこちら
コメント
今朝(4/28(木))の東京新聞の一面で「障害者差別解消法」(障害者への不当な差別の禁止と合理的は配慮を義務付け:行政機関は法的義務、民間は努力義務)が4月から施行(2013年6月に成立:その間周知期間)されましたが当該法で作成が義務付けられている「対応要領」を実際に作成した市区長村は全国でわずか21%だといいます。横浜市はさすがに2月には策定していましたが策定しただけという気がしました。また立法がすべてではありませんが僭越ながら所管の内閣府、神奈川県も法の趣旨を再度理解徹底すべきと考えます。
また県立障害福祉施設の民間移譲等検討されているということですが、私は現在の「指定管理者」制度も問題があると考えます。特に雇用問題(解雇)で訴訟にまで発展しているケース(いわゆる「ブラック企業化」)がありそこで働く労働者の労働条件の引下げ等気になります。
これは非常に細かい問題なのです、関連して昨年9月改悪された「労働者派遣法」の法第40条の7で国、地方公共団体への違法派遣(解釈は難しいですが)の場合に、直接雇用を促進するような条文(一見労働者保護政策)がありますが直接雇用といっても「非正規労働者」でも直接雇用なので職員(正社員)の穴埋めを派遣スタッフから非正規労働者へ置き換えて雇用するというような事態が国、地方公共団体と派遣会社との密約等で横行しないかと危惧しております。
話題がそれましたが今回のブログから幾つかの深刻な背景を感じ取った次第です。
すずきさん
なるほど。おおいに想定できますね。
もともと障害者差別の問題で係争中の指定管理者でもあります。
そういう問題が起きないよう、こういった分野は公の関与が必要なんですよね。「非正規労働者でも直接雇用」「派遣スタッフから非正規へ」この懸念は団で共有して行こうとおもいます。とりあえず労働者派遣法40条読まねば。