緑養護学校 新栄分教室視察
緑養護学校(知的障がいの子が通います。緑区 鴨居駅や小机駅が最寄り駅)の過大規模化に対応して、新栄高校の中に分教室が設置されています。県内に20もある分教室の第1号です。
比較的障がいの軽い、自立通学が可能なこと、常時の配慮を必要としないことを条件として1クラス15人計45人が5つの教室を借りて活動しています。先生は1クラス3人配置されていますが、対外的な仕事もあり、授業は通常2人で対応することが多いそうです。
ネットで新栄高校の場所を調べても緑養護分教室は出てきません。正門にも名称がありません。
中に案内ボードがありました。
職員室と保健室と先生たちのロッカーが一つの教室でした…。
三つの教室のほかは二つしか部屋がないので、職員室兼保健室兼ロッカールームのほかは多目的室が一つ。そこで美術や工作や更衣などパーテーションを活用して工夫されていました。
床がはがれていたり、窓ガラスが修理できていないことはほかの県立高校の状態と似ています。この2年間の議会で私たちの質問も含め、老朽化対策が耐震工事の後回しではなく予算がついたことは本当によかった。でもまだまだ足りないと言わざるを得ません。
体育の授業が行われ、体育館で楽しく体力測定が行われていました。子どもたちはイキイキしています。友達の中にいる子どもたちは本当に楽しそうに見えます。どんな環境にあっても。
緑養護学校は設立当初130人~150人の規模で建てられましたが、今は45人の分教室を合わせて220人が在籍しているといいます。そこで、こういった過大規模を解消するためには一刻も早く特別支援学校を整備することが待たれますが、県はまだまだ進んでおらず、分教室整備で対応しています。管理職まで配置される分校という形をとらず、分教室という形での整備になっています。5年間の時限措置だったはずが5年たっても解消されず、緑養護新栄分教室は、14年目を迎えました。
障がい児教育に当たる先生や、担当課などから聞いたところでは、県内の分教室は、入学式などの式典は本校と合同で行っても、通常は交流があまりなく、設置校(こちらの場合新栄高校)のカリキュラムを縫うように体育館や音楽室を借りる、というところもあるようです。緑養護分教室は設置校の配慮でカリキュラム編成の時に要望が聞き入れられているようです。それはよかったのですが、「お借りできます」という表現はここでもありました。
本校は8人で1クラス。分教室は15人で1クラス。本校は給食があるが、分教室はない。こういう条件の違いもあります。
私が今回一番つらかったのは、先生の次の言葉でした。
「チャイムは新栄高校のチャイムが鳴りますが、時間割はずれているのですが、子どもたちは気にならないようです。」
かつて担当課の説明では「分教室に入れてよかったという保護者の方も多い」というものがあったのですが、それは、よりましであって、最善の環境でありえるのかどうかを意識すべきです。教育環境整備にあたる行政としては、他県に比べて特別支援学校の整備が著しく遅れ、分校とするならまだしも経費が少なくて済む分教室という形が全国一多い(20教室!第2位の大阪は10教室でほとんどが病院内の文字通り分教室)ことをしっかり自覚することが必要です。現場の努力ではいかんともしがたいことがありますから。
【教育基本法】
第3条 (教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
【憲法】
第14条第1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 | |
第26条第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 |